本を読む人だけが手にするもの  「年収」でなく、「時給」をみる

教育改革実践家、藤原和博さんの著書

「本を読む人だけが手にするもの」

  

最も印象に残ったのは、次の文章である。

『1時間あたりの報酬が1万円を超えたところから、私は「エキスパート」と呼ぶことにしている』

ビジネス雑誌で今だに特集されるのは「年収の高い会社ランキング」のような類いのテーマ。

その「高い」年収を稼ぎ出すために、月に何十時間拘束されるのだろう。

時給はいくらなのか。

拘束時間を見ずして年収だけを比較して語るのは片手落ちではないか。

そう感じる。

常に「1時間あたり1万円以上」をいただけるだけの仕事をしていきたいと思う。

その一方で、収入という一つの要素だけで職業を決めることのないように、と考える。

優先順位の最も上位が「収入」なのであれば、それはそれで納得できる。

ただ、仕事に求める要素は、人によって異なるはずだ。

その人が何を優先するかによって、仕事の選択は違っていいはず。

東日本大震災の後、仕事に対する考え方が変わった人もいる。

もう一つ、この本で印象に残ったのが、書籍「ピーターの法則」から引用された次の言葉。

『「昇進をうれしがっていると、あなたはどんどん無能になっていくよ」という警告』

一つの組織の中で、上にのし上がっていったからといって、それが、イコール、日本あるいは世界での社会的地位が上がったということにはならない。

藤原さんにとって、この書籍がビジネスパーソンとしての半生を規定した本だそうである。

このような考え方の本との出逢いは、藤原さんのキャリア形成にとって、とても幸せなことだったろうと思う。

私にとって、「本を読む人だけが手にするもの」は、上記2点に出逢うことができ、良書だったと感じた。

この書籍とは関係ないが、かつて朝日新聞デジタルで特集していただいた「複線型のすすめ」。

昭和の時代のように、一つの組織に一生勤めるというスタイルではなく、二つ以上の仕事を並行して進めていくという生き方をする人の特集である。

こちら、第一回目がさとなおさん、第二回目が藤原和博さん、第三回目が、私だった。

こんな偉大な方と並列に特集していただいたのを、ひそかな誇りとしている。

「複線型のすすめ」
http://www.asahi.com/and_M/living/TKY201305200203.html

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本日10月6日は国際協力の日 青年海外協力隊の募集スタート!

今日、10月6日は「国際協力の日」です。日本政府がコロンボプランに参加を決めた日ということで制定されました。
http://www.jica.go.jp/aboutoda/basic/01.html

Iderumi_harumaki

私が参加したことのある「青年海外協力隊」(写真)も、今月10月1日から応募が始まっています。(2015年11月2日締めきり)

青年海外協力隊の派遣が始まってから50年を迎えました。今年は「青年海外協力隊50周年」の記念の年でもあります。

協力隊の参加資格の一つとして年齢制限があります。受験時に20歳から39歳であること、です。
http://www.jica.go.jp/volunteer/application/seinen/

Iderumi_Akachan

ただし、40歳以上の方にも道はあります。「シニア海外ボランティア」をはじめ、日本での社会経験を活かしたボランティアも応募があります。興味のある方はご覧くださいね。
http://www.jica.go.jp/volunteer/index.html

Iderumi_Mura

写真は、青年海外協力隊当時、フィリピンの村でモロヘイヤを使った調理法を村の女性たちに教えているところです。揚げ春巻きやスープなど。

Iderumi_Origami_1995

このほか、モロヘイヤの葉を太陽の光で渇かし、粉にして、キャンディやポルボロン(スペイン風クッキー)に加工して街で販売し、村の女性たちが収入を得られるようにしたり、低体重児に栄養価の高いおやつをNGOとともに提供するなど、いろんな活動をおこなっていました。

土日には、子どもたちに折り紙を教えたりもしました。折り紙はない。新聞も買うお金がないので、新聞を買って村まで持っていきました。

Iderumi_ryori

「ない」から諦めるのではなく、「ない」からこそ工夫をする。そんな習慣が、すこしは身についたと思います。

興味を持った方は、JICAボランティアのサイトをご覧くださいね。

http://www.jica.go.jp/volunteer/index.html

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いつやるか?今でしょ! 林修氏の講演

埼玉県川口市、川口商工会議所特別講演会「いつやるか?今でしょ!」

林修さんの講演を聴いてまいりました。

   

 

以前、林修さんの著書「いつやるか?今でしょ! 今すぐできる45の自分改造術」を読んだことがあり、仕事に関連するtips(ヒント)を頂けるのではないかと期待しながら聴きに行きました。

  

会場の川口総合文化センター リリアは、ほぼ満席。

商工会議所の代表者の方と市長からのご挨拶のあと、林さんの講演は18時15分から19時45分までの90分間におよびました。

90分間の中にはさまざまなエピソードが盛り込まれていました。

その中から、印象に残ったことを箇条書きで挙げてみます。

*汝自身を知れ

自分で自分を冷めた目で眺めてみる

*相手の期待値を読む

 満点ではだめ。次はない。

 相手の期待を超える仕事を心がける。

*オックスフォード大学のオズボーン教授によれば、10年後には、現在ある仕事の47%が消えてなくなる。

たとえば、スポーツの審判員、集金人、ネイリスト、運転手など。

 10年後を考えて、本当に人間にしかできない仕事をやる

*ネットに批判を書き込んでいる時点でもうだめ。

(むしろ相手にだめなところを教えてあげているという点で協力している)

 あなたの貴重な人生の時間を、もっと他のことに費やしてはいかがでしょうか。

*小学生のとき尊敬していたスナフキンの言葉

 「そのうちなんてあてにならないさ。今がそのときさ」

*勉強は批判的精神を持っている人にしかできない。

 人の言うことを素直に聞かない人こそ勉強ができる人。

以上

自分もどちらかというと批判的視点を持っているので、最後の言葉「勉強は批判的精神を持っている人しかできない」は心に残りました。

自分もこれまで330回の講演をしてきましたが、ほとんどの講演がパワーポイントを示しながらしゃべるもの。

パワポがあれば、90分でも120分でもしゃべり続けることはできますが、林さんのように、パワポ無しで90分間、話し続けられるような講演が今の自分にできるか?と問われたら、今は無理だと思います。

先日、奈良市の書店で拙著のトークショーをやったときも、ほんの数十分でおたおたしてましたから・・・

今週、月曜日(9月28日)に、120名くらいの方に基調講演をしてきました。

アンケートを後で見せていただき、「不満」がゼロだったことにホッとしました。

「大変満足」も複数あり、「満足」も多く、「普通」が少なかったことにもちょっとホッとした気持ちになっていました。

林さんは、「100点では次はない」という気持ちで仕事に対峙してこられた。

そこが、今の私と林さんのポジションの違いなのでしょう・・・・

林さんは「アンケートのクレームだけ読む」とおっしゃっていました。

褒め言葉なんて意味がない、と。

先日の講演のアンケートに”褒め言葉”を見つけていい気になっていた私は恥ずかしくなりました。

批判は、誰しも耳が痛いもの。

それを、あえて進んで聞こうとする姿勢が大切なのだと思いました。

これだけ大規模な講演会を主催するのは、当日はもちろんのこと、当日までの準備も非常に大変だったことでしょう。

私も何度かシンポジウムを主催した経験を振り返ると、本当に倒れるほど大変でした。

いろいろなご苦労があったこととお察しします。

主催された川口商工会議所のみなさま、主管の川口商工会議所女性会の皆様に、深く感謝申し上げます。

その上で、

今後の改善に参考になることを目的として、講師経験者として意見を述べます。

1、商工会議所の講演の対象者は果たして「商業関係者」だったのか

この講演は、川口商工会議所が主催の講演でした。

商工会議所は経済産業省の管轄で、商工業の発展や改善を目的とした組織ですので、今回の講演も、基本的にはビジネスパーソンが対象のはずだったと思います。

実際、聴講者の皆さんを拝見すると、政治家や市役所の方はいらっしゃったようですが、その多くは、果たしてビジネスパーソンなのだろうか・・・・と、会場を見渡してみて感じました。

数百名入る広い会場を一杯にするのは主催者の役目です。

ただ、330回、講師の立場を経験している者から言うと、対象者がバラバラでいろんな人が混じっている講演ほどやりづらいものはない・・・ということです。

たとえば、70代の主婦の方が多い講演でしたら、ゆっくり、大きい声で話すようにし、あまり難しい内容は避けるようにします。

逆に食品事業者が多い講演でしたら、割とパッパッとテンポよく話します。そのようなプレゼンテーションに慣れていますし、食品業界の方でしたら専門用語も理解できますので、そのようなものも取り入れます。

お子さんが対象でしたら、「食卓に5色をそろえましょう」といった、わかりやすい内容にします。

林さんのお話の大半は、ビジネスパーソンや経営者に向けてのものだったと感じます。

講演の最後には「お子さんやお孫さんに・・・」ということをおっしゃってはいましたが、そもそも講演依頼の時点で商工会議所は「誰をターゲットに話してください」とお願いしていたのか、気になりました。

2、講師への配慮(小さいお子さんの声や音)

多くの方は静かに聴いておられました。

会場には小さいお子さんもいらっしゃいました。

もちろん、小さいお子さんのいらっしゃる方も、関心の高い講演を聴きに来たいとは思います。

ただ、ときどき聞こえる泣き声、叫び声、会場の設備を鳴らす音は、やはり、気になって、気が散ってしまいました。

われわれ聴講者はともかく、

講師にとっても、そのような声や音は気になるし、気が散って集中力を欠くものです。

講師に対する配慮はどうだったのでしょうか。

講演聴講を呼びかける時点で、「小さいお子さんのいらっしゃる方は・・・」などの注意事項の記載があってもよかったのかなと感じました。

3、数百部配布されたカラーリーフレットの必要性

来場者にカラー印刷のリーフレットが渡されていました。

印刷されているのは、講演タイトル、林先生の写真、プロフィール、スケジュール。

わざわざ分かっているような内容をコストのかかるカラープリントで数百部も刷る必要があったのか。

来ればわかることでしたら口頭で説明すれば充分ではないでしょうか。

コストはともかく、この紙は、どうなるのでしょうか。捨てられるケースも多いのでは。

リーフレットは商工会議所の予算で賄ったと思うので、部外者の意見として捉えて頂ければ幸いです。

以上

私としては「喝が入った」講演となりました。

聞き終わった、ここからがスタートです。

同じ話を聞いても、聞いただけで終わらせる人、実際に行動する人、さまざまです。

最後に中谷彰宏さんの言葉をご紹介し、この投稿を締めたいと思います。

「したい人、10000人。

始める人、100人。

続ける人、1人。」

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島根県への日帰り出張 Business trip to Shimane

農林水産省補助事業の一環で、フードバンク事業推進委員会の委員長をつとめております。

その関係で、今日はこれから島根県へ日帰り出張です。

島根日帰り出張というと、食品企業のとき以来、今回で2度目です。

当時、お客様からクレームをいただいて、営業の方からその謝罪を頼まれました。

朝、羽田を出て出雲空港へ着き、出雲空港から車で往復2時間かかるご自宅まで伺いました。

「東京から来たんですか・・」と、お客様が恐縮しておられたのを覚えています。

お客様相談の仕事は合計5年間兼任しました。

広報・栄養業務との兼任でした。

七回もご自宅に通い、そのたびに2−3時間軟禁されたり・・・・

2000年の、ある食品メーカーの食中毒事件のときも、ちょうどこのお客様相談業務を兼任していました。

あのときは本当に大変だった・・・

毎日のように、さまざまな食品企業の社告(自主回収のためのお詫び・告知広告)が並びました。

私の勤めていた企業でも、2度の自主回収をせざるを得ない状況に陥りました。

お盆に海外旅行に行ってきて、金曜日の夕方、成田空港に到着し、実家に着いて、その日の夕刊を見たら、自分の会社の回収のことが記事になっている!!!

あわてて上司に電話し、土曜日と日曜日に出勤・・・

・・・そんな衝撃的なこともありました。

食品メーカーのお客様相談室に電話してくるのは、年代も住む地域もさまざま。

ヤクザもいましたし、山奥に住んでいる80代女性もいらっしゃいました。

5歳の女の子から「お絵描きしよう」と電話があったこともありました。

大変なこともあったけど、いま思えば、なまの声に触れられることは大きな学びであり、社会勉強でした。

マニュアルがあるようで、マニュアルが通用しない仕事でもあります。

同じように説明しても、ある人はそれで喜び、安心する一方で、別の方は怒り出したりします。

難しいなあ・・・と感じました。

地域の方言で話されるので、全国、北海道から九州まで移り住んで暮らしてきた私は「有利だな」と感じることがありました。この仕事のために、あの転々とする生活があったのだろうかと思ったくらいです。

どんな仕事を与えられたとしても、真っ直ぐに向かっていけば、必ずや、その後に役立つと信じています。

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良い広報、悪い広報

かつて女性の雑誌編集長が「よい広報、悪い広報」の話をして下さった内容、今でも広報の講義などで使わせて頂いています。

これは広報のことだけに留まらず、すべての仕事や物の見方に通ずる話かもしれません。

「悪い広報」は「親バカ広報」。うちの子がね、うちの子がね・・・うちの子のことしか言わない。

「よい広報」は「担任教師」。全体を俯瞰し、対象の優れているところと不十分な点を客観的に把握して説明できる。

たとえば食品企業であれば、自社や自社製品のことしか話すことができないのは「悪い広報」。

食品業界ひいては日本全体、さらには世界を俯瞰して、自社の立ち位置と強み・弱みを冷静に客観的に説明・発信できるのが「いい広報」。

これは、視野を広く持つこと、どの対象を大切にするかの姿勢を示しています。

「成功曲線を描こう」の著者、石原明さんは、これを「人称」という言葉で示しています。自分のことと自分のまわりだけ見るのは「一人称」。

何かを書いて発信するとき、発言するとき。人の言動から、どこを大事にしている人なのかが見えてしまう。だから、自分の言動を外から客観視してみたい。

自分や自分の部署・組織しか見えない「親バカ」なのか、それとも全体を俯瞰して判断できる「担任教師」なのか。(写真はイタリア)

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