東京大学大学院日記(22)

2013年5月13日、6限目。

18:30から20:10まで。

放射線医学総合研究所の内田滋夫先生が講師。

放射性物質の農地での動態などについて学んだ。

最も興味深かったのは、FAOのデータで、各国の、一人当たり年間食品摂取量の割合をグラフで示したもの。

中でもアジア地区の野菜の摂取量の違いが面白かった。

日本と韓国を比べると、当然、韓国のほうが高い。

前職で、韓国の同僚が来日するたびに、日本の外食産業での野菜の少なさに苦言を呈していたので、これは容易に予想がついた。

さらに韓国と中国を比較してみると、中国のほうが格段に野菜摂取量が高い。

こうしてみてみると、当然ではあるが、野菜の摂取量と平均寿命は、必ずしも比例するわけではない。

だが、日本国内に目を向けると、全国で男女とも平均寿命トップとなった長野県は、他県と比べて確実に野菜の摂取量が多い。

そして、食塩摂取量に注目してみると、韓国の摂取量は日本よりも高い。

長野県は、減塩運動などをおこなったにも関わらず、他県と比べてまだ高い。

野菜の摂取量と平均寿命との関係。

食塩摂取量と平均寿命との関連。

いろいろと興味深い。

東京大学大学院日記(21)

2013年5月11日(土曜)、エグゼクティブプログラム。

テーマは「東大医学部の歴史にみる日本の近代史」。

先生は、自治医科大学学長の永井良三先生。

これまでのEP(エグゼクティブ・プログラム)の中で最も面白かった。

医学にとどまらず、本質的なことを教えてもらった。

以下、先生の言葉。

「日本には、物のデータはあるが、人の営みに関するデータがない。その部分が非常に弱い。経験と勘でこなしている。偶然性を制御し、ばらつきを乗り越えて意義があるかどうかという研究やビジネスが弱い。ばらつきは本質的である、ということを教育で教えて欲しい。きれいにいかないがために挫折していく研究者や学生が多い。理論通りいかない部分が多い。」

私が感じたこと。

日本の製造業がグローバルの中で弱くなってきているのは、そのせい(前述)ではないか。物の品質を改善し、品質が向上すればするほど売上が上がるというものではない。たとえば太陽電池などは、当初、日本が世界の中でリードしていたが、海外では世界各国から技術者を集め、100%の完成度を求める日本とは異なり、だいたいの品質まで高めた時点で発売しては改良することを繰り返し、日本を追い抜いてしまった。物の品質だけでなく、人が使ってどうなのかを見ないとだめなのだと思う。

食品の安全性でみても、日本はゼロリスクを求める。食品には、物理的・化学的リスクは存在するのが当然であり、ゼロリスクはあり得ない。安全性に完璧さを求めることで、逆効果もある。

スタンフォード大学のジョンクランボルツ博士の提唱する「計画された偶然性理論」がある。人生は、偶然やハプニングがつきもので、それをチャンスととらえ、キャリアを重ねていくことで自分らしいキャリア形成ができていくという考え方である。先生のおっしゃった「ばらつきこそ本質である」ということも、この計画された偶然性理論に共通する要素があると感じた。

東京大学大学院日記(19)

2013年5月9日、18時30分から20時10分まで、食の安全ゼミナール。

場所は農学部1号館8番教室(2階)。

講師は、内閣府食品安全委員会の機能性食品部会の代表でもある、清水誠先生。

テーマは「食品中に含まれる有害化学物質に対する生体の防御機能」

農学系にいても、食の出身者としては、やはり食の授業が面白い。

特に、食べることがバリア機能を高めるという内容が興味深かった。

人間、100%安全なものを食べ続けられるわけではないので、時には異物や有害物質を口から摂取してしまうこともある。

そんなときでも、物理的バリアや科学的バリアを用いて、人が安全に安心して生きられるための機能が腸内には備えられている。

かつ、人間が食べることで、食品に含まれる成分を活用し、バリア機能を高めることができるということ。

それを人々が知ることで、ますます「食べること」の重要性を認識し、生活の中でのプライオリティが高まると思う。

東京大学大学院日記(18)

2013年5月9日。

農学国際特論2。

13時から17時まで、すべて英語。

Plant Nutritionというテーマで、稲などにとって不足する栄養素があると成長が妨げられるということで、栄養学を専攻していた自分にとっては興味深い内容。

内容としてはかなり難しい。

亜鉛やリン、鉄、シリカなどを含有する肥料を用いて、稲などの成長によい効果を与える内容。

4時間近くの英語を聞き、専門用語を理解し、内容を把握するだけの力をつけておかないと。