2017年10月21日(土)映画「0円キッチン」上映会&関根健次さんトークイベント&フードドライブ

2017年10月21日(土)、映画「0円キッチン」上映会&関根健次さんトークイベント&フードドライブを、食品ロス削減検討チーム川口として主催しました。この秋、インターンに3日間来て下さっている女子大生が、まとめてくださいました。

以下

2017年10月21日(土)開場:13時30分 開演:14時
場所:川口駅東口キュポ・ラ7階 メディアセブン
参加費:500円

イベント内容:
・映画『0円キッチン』上映
・映画配給会社ユナイテッドピープル代表取締役 関根健次さん
 食品ロス問題専門家井出留美 2人によるトーク
・フードバンク食品の寄贈式

最終_20171021_映画0円キッチンチラシ

●映画『0円キッチン』上映会

 世界で生産される食料の1/3(13億トン/年)が廃棄されている。この作品の監督でもあるダーヴィット・グロスは、捨てられてしまう食材を美味しく料理し食材を救出してゆく。今回の映画では、ヨーロッパ5カ国を訪ねる。
 移動は車で、燃料は廃油を調達し0円。訪ねた場所で廃棄されてしまう食べ物を、ゴミ箱で作った特製キッチンを車に取り付け移動するダーヴィットがその場で美味しく調理する。美味しくなった廃棄予定の食材に皆驚き、改めて自分たちがいかに勿体無いことをしてきたのか知る。街に生えているプラムや野草をジャムやゼリーに、一般家庭で賞味期限が切れた食材をフルコースに、海に捨てられる混獲魚をブイヤーベースにし食べる人を笑顔にしていた。付加価値の高い利用法である食料が優先されるべきという考えがある。そのため、混獲魚をバイオ燃料に変えるのではなく美味しい料理にすることを推奨しているのだ。
 食品には賞味期限があるがその数字通りに捨てるのではなく、嗅覚、視覚を使った自己判断を加えるべきという考えが強く伝わってきた。食料廃棄についての現状を知れ、どうすれば自身の日常で勿体無いという行為を無くせるのか考えることの出来る映画である。

●映画配給会社ユナイテッドピープル代表取締役 関根健次さん
 食品ロス問題専門家井出留美 2人によるトーク

・『0円キッチン』を紹介しようとしたきっかけ
 世界中で生産される食料の1/3が廃棄されているという事実を知らせるべきだと思った。ダーヴィットのアプローチの仕方を気に入った。

・映画の撮影は本当に食品ロスだけで行われていたのか
 撮影クルー全員は難しいが本人はしていた。0円に徹底的にこだわるために、5079kmを廃油で走行した。

・ヨーロッパで食品ロスを減らすための取り組みは何かあるか
 ドイツにはフードシェアリングというアプリがある。(例えばレストランで余った食材を誰でも取りに来ることが出来る。引き取りは自己責任。)
またランチにビュフェで余ったものを半額で食べることが出来るレストランがある。日本でも『Reduce GO』(廃棄予定の食品を毎月定額でテイクアウトできるアプリ)などある。
 ドギーバックではなくグルメバックという呼び方をし、作ってくれた人に敬意を示すという取り組みがある。そもそも、グルメバックが他国と比べ日本では馴染みが薄い。

・フランスで法律が進んでいるが、日本で法律が作られないのか
 公明党で食品ロスに取り組むチームがあり、法務局とともに話進んでいる。これにより、個々の意識だけではなく業界ごとの食品ロス問題も解決につながるのではないかと考える。アメリカは、フランスとは違う面での法整備の仕方をしている。寄附をすることで税金が安くなる制度がある。
 日本では製造者責任法(PL法)などがあることによって、責任をおうことを恐れ捨ててしまう考えが強い。署名してもらった側の自己責任とするのが良い。

・コスタリカのスーパーでのお話
 日本のスーパーでは同じ規格のもので値段が付けられる。コスタリカでは色々なサイズのものが売られている。

・実際の日本の食品ロスの量について
 日本の食品ロスには、田畑で捨てられたものや家庭内などでの備蓄、港で捨てられている規格外の魚は入っていない。また、途上国に作ってもらっているオクラやバナナなどの規格外の食材が現地で捨てられている。その規格は日本が作ったものにも関わらず日本の食品廃棄量には入らない。

・目に見える日本の企業努力について
 日々の気象情報を元に売る商品を考える。(実際に寄せ豆腐を販売する企業では年間30%、2000万円ロス削減)
 京都市では飲食店で幹事さんに『食べきって』という声がけがあるのとないのでどれだけ食べ残しに影響が出るのか検証した。結果的に声かけがあることでロス削減につながることが分かった。

・消費者側が意識すること
 賞味期限という数字が書いてあることで消費者は思考停止する。食中毒などの問題があるので慎重にしてほしいが、五感を使い自己判断で食品ロスを減らすことは大切だ。

・日本での撮影について
 日本の食品ロスの量は、国連が援助している食料援助の2倍であることにダーヴィットは興味を持つ。同時に『勿体無い』という言葉に出会う。そして、日本に来て日本国内にきっとある素晴らしい取り組みを取材し、世界に発信したいと考えている。精進料理や気仙沼などでの出会いを通し、命をいただいていることを忘れないことが大切だと感じた。

○会場からのコメント
・青年海外協力隊OGの方
 ザンビアではトマトなどが廃棄されている。

ボリビアのスーパーでも大きさに規格がなく量り売りで売られていた。また卵が常温で売られており、冷蔵しなくても火を通せば食べることができることを知った。日本のように全ての食品に賞味・消費期限が付けられていないため五感を使い判断していた。お豆腐が地域によって無いため、大豆から作っている地域があった。このことで、日本のように食品が当たり前にあることが普通では無いということを知った。

・リピータの方の質問
 Q:漁業の方とのお話の場面で『もっと深刻な問題がある気がすると』ダーヴィットは話していたがどういうことなのか
 A:優先順位としては人の口に入ることが先なのに、魚が最初に肥料とされてしまっていることに疑問を感じたのではないか。また命ということを見失ってしまっていると思ったのではないか。

○フードドライブ食品の寄贈式
 11kg、48点の食料品が集められた

最後
食品ロス削減検討チーム川口 副会長 石橋俊伸(川口市会議員)より挨拶

ありがとうございました!

(写真撮影:山中和政さん)

2017年10月17日 リーガロイヤルホテル大阪で第22回やる気と感動の祭典でスーパーマーケット勤務者1,000名近くに食品ロスの講演

2017年10月17日、リーガロイヤルホテル大阪で開催された第22回やる気と感動の祭典で、スーパーマーケット勤務者・食品事業者の方々1,000名弱に、「食品事業者における食品ロス削減のアプローチ10の視点」について、10か条にまとめて講演しました。Give a presentation to 1,000 persons

スマホやガラケーを通して答えていただいたアンケート結果を、その場にいる全員に共有できるシステム「respon」を使い、300名近い方から回答を得ることができました。このシステムに開発者である、株式会社朝日ネットさん(東京・銀座)も、はるばる大阪から来て、自社システムの活用事例として同席し、リアルタイムで回答が蓄積されていく様子を、大阪と東京の両方で見て下さいました。

食品事業者を対象としたこのイベントは、春に東京、秋に大阪で開催され、今回で22回目とのこと。「スーパーの人たちに、危機感を持ってもらえるようなお話を」とのリクエストを頂き、この講演となりました。つたない内容ではありましたが、登場の折には、まるで格闘技の試合か、NHKプロフェッショナル仕事の流儀か、くらいな、私の独立ストーリー映像が会場じゅうに流れて驚きました。

また、拙著『賞味期限のウソ』のサイン会も実施していただき、有難うございます。このシンポジウムは、このあと夜まで、18日の朝7時台から続きます。

関係者のみなさま、ありがとうございました。

映画『0円キッチン』ダーヴィト監督とのトークイベント

映画『0円キッチン』ダーヴィト・グロス監督とのトークイベント(クローズド)ありがとうございました!

一斉送信ではなく、お一人ずつメッセージを書いてお声掛けしようと思っていたら、、、前日のお声掛けになってしまいました。。。

お忙しい予定の中、調整いただいて来てくださったこと、感謝申し上げます。Talk Event of the movie “wastecooking”

催、食品業務用専門展「第五回ファベックス関西」主催者特別セミナーで「食品事業者の食品ロス削減のアプローチ 10の視点」と題して100名弱の食品事業者の方に講演

インテックス大阪で11〜13日まで開催中の日本食糧新聞社主催、食品業務用専門展「第五回ファベックス関西」主催者特別セミナーで「食品事業者の食品ロス削減のアプローチ 10の視点」と題して100名弱の食品事業者の方に講演しました。

青年海外協力隊時代の同期で元ブルガリア隊員のKさんが、はるばる聴きに来てくださいました。主催者ブースで販売されている拙著『賞味期限のウソ』も買っていただきました。

久しぶりに会えて同期話が盛り上がって楽しかったです。ともちゃん、ありがとう!Give a presentation on food waste to food companies

2017年10月11日 東洋学園大学「世界食料事情」で講義

2017年10月11日、東洋学園大学「世界食料事情」で講義をおこないました。担当は古屋力先生でした。お忙しい中、さまざまなご配慮いただき、ありがとうございました。

今年の秋、インターンで来てくださっている大学生が、写真撮影してくださった上で、まとめてくださいました。ありがとうございました。

大学での講義のあと、大阪に入り、今日(10月12日)はこれからインテック大阪で開催中の「ファベックス関西」で、食品事業者の方100名に講演です。

以下、まとめてくださった内容です。
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2017 年 10 月 11 日 東洋学園大学にて 「食品ロス削減のアプローチ10の視点」という題で行われた

●井出留美の自己紹介(古屋力先生からインタビューという形)

大学時代 食物学科(専攻した理由:5歳から食べ物に興味があったため)
卒業後
食品化学研究室
ライオン株式会社(五年間:スキンケア商品について携わる)
⻘年海外協力隊としてフィリピンに派遣
(社内のコンテストでの準優勝がきっかけ) 紀伊国屋書店 日本ケロッグ(広報・栄養情報作成・お客様対応) 東日本大震災の支援にケロッグを代表して携わる (実際に現場で起きていることを目の当たりにする) 独立しながらもフードバンクで働く 東京大学(農学)2013〜
完全に独立し office 3.11 を設立 (食品ロス削減を目的とした啓発活動、講演、執筆活動)

●えのきの根っこは何に?
・えのき月見ステーキ(塚田農場)
(ホタテの貝柱のような見た目)
・鶏のフンの匂いを抑えるために活用
→ゴミかという判断は消費者が勝手に決めている。

●家庭からの食品ロス 消費期限前のまだ食べられる食品も平気で捨てられている。 ・一世帯に4人家族が一年間に捨てる食べ物:6万円分
日本全国:11.1兆分 (皆お金だと捨てないのに食品に形が変わると捨てる。)
・1 人 1 日食品ロス発生量:約134g=おにぎり1個分 (おにぎり一個あれば何人もの命が助かる可能性がある。)



●世界での食品ロス
・世界の食料廃棄13億トン/年=食料生産量の1/3
・フランス議会で大手スーパーの食品廃棄を禁ずる法案 が可決
(主にフードバンクに寄付、動物の餌に利用される)

●昆虫料理のお話
貧困な人は虫を食べ生きている →無駄をなくせば虫を食べずに生きることが出来る。
アブラゼミはアーモンドチョコレートのような味 実際に食べたがやはり皆抵抗がある (受講している生徒も虫を食べることに抵抗があると回答した)

●日本での食品ロスの量は? 魚の消費量とほぼ同じ量=約 622 万トン
京都では新・京都市ゴミ半減プランを策定 (食品ロスを現在の6.5 万トン→5万トンへ削減することが目標)

●バイオマスの5F

food>fiber>feed>fertilizer>fuel の順で付加価値が高い

・食料として使用できなかったら繊維として使用
(バナナやパイナップルを洋服にする)
・サトウキビやトウモロコシが食品ではなく一気に燃料として使用されてしま っている(価格が高まっている)

●日本の食品ロスのほとんどはどこから?

8割が家庭から出ている
食品ロス621万トン(家庭282万トン・企業339万トン)

・消費者の商品の選び方で企業側の食品ロスを増やしている。
(消費期限の⻑いものから購入するなど)
→結局消費者が原因

●気温の変化を予測で食品ロス削減した食べ物とは?
寄せ豆腐 (冬:焼き豆腐 夏:冷奴 を増やすことで実際にロスが削減) 天候データを精密に予測することで発注数を調整→ロス削減
●規格外のもの
・右図は 100〜200 トン規格外が原因で捨てられるオク ラ →オクラヌードル(フィリピン)にすることで消費期限 が6ヶ月に伸びる

・規格外のものだけを使ったレストランができている

●消費期限・賞味期限

・ペットボトルの表示
賞味期限表示には年月日か年月かがある 年月日:次の日にはゴミになる 最近ではサントリーなど大手飲料企業で年月に移行し始
めている
・カップラーメン、麺類それぞれ賞味期限が伸びてきて いる
・賞味期限がない商品:アイス、ジャム、砂糖、塩、ガム(特保のガムはある) →品質が悪くなりにくいため、水分量が少ないため

・卵の賞味期限
夏:20 日 冬:57 日
私たちの買うものは賞味期限2週間だが実際この日数は 食べることが出来る

●捨てないパン屋
ブーランジェリードリアン ・モンゴル人の留学生に捨てられたパンについて指摘さ れ見直した
・種類○減 ・単価○高 ・リピーター○増 (定期便という形)

アクアベーカリー

・100 円のパン・100 種類 ・1種類の数が少ない(少量多品種)
*デパ地下などのパンの価格は捨てる費用も含まれていることを知るべき

●おからについて おからが人の食用として使われる割合:1% ・ほとんどが肥料や鶏の餌になっている ・栄養価が高いのにも関わらず食用とされない →おからケーキとして販売
(小⻨粉アレルギーの人にも優しい、健康的)



●受講生徒からの質問と井出留美からの回答

Q:何故味が変わらないのに捨てるのか A:缶の凹み、ダンボールが破けている、賞味期限が差し迫っている
Q:日本の食料事情問題について今後どのようにすべきか A:大量生産、大量消費、大量廃棄というサイクルをやめ、適切に作って適切に 消費するべき
Q:一番のやりがい、辛かったこと A:フードバンクのテレビの取材で⻘年海外協力隊時代に出会った女性に再び出 合ったときや社会を変えられたとき、⻘年海外協力隊から日本に帰っていたと き
Q:自身の生活の中での工夫はあるか A:冷蔵庫を満帆にしないこと(土日に買い出しする)
残った野菜をグリーンスムージーに活用
Q:本を何故出したか A:講演は人数が限られているが、本はより多くの人に広められる
Q:5歳の時に何がきっかけで食に興味をもったのか A:母が作ってくれたくず湯
Q:困難はどのように乗り越えたか A:自分よりも辛い方のことを思う
Q:日本人国⺠一人一人の意思を変えるにはどうすれば良いか A:地道な啓発活動を続けること、フランスのように法律化する
Q:日本の根本的な原因は何か A:日本人はゼロリスクを求めすぎている
Q:日本でもフランスのような法案ができないのか A:今実際に動いていて議員さんが法案を作っている
Q:大企業に就職している先生からアドバイスはあるか A:専攻のものだけでなく強みを何個も作る
(何個も持つことでその分だけライバルが減る)