2017年10月11日 東洋学園大学「世界食料事情」で講義

2017年10月11日、東洋学園大学「世界食料事情」で講義をおこないました。担当は古屋力先生でした。お忙しい中、さまざまなご配慮いただき、ありがとうございました。

今年の秋、インターンで来てくださっている大学生が、写真撮影してくださった上で、まとめてくださいました。ありがとうございました。

大学での講義のあと、大阪に入り、今日(10月12日)はこれからインテック大阪で開催中の「ファベックス関西」で、食品事業者の方100名に講演です。

以下、まとめてくださった内容です。
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2017 年 10 月 11 日 東洋学園大学にて 「食品ロス削減のアプローチ10の視点」という題で行われた

●井出留美の自己紹介(古屋力先生からインタビューという形)

大学時代 食物学科(専攻した理由:5歳から食べ物に興味があったため)
卒業後
食品化学研究室
ライオン株式会社(五年間:スキンケア商品について携わる)
⻘年海外協力隊としてフィリピンに派遣
(社内のコンテストでの準優勝がきっかけ) 紀伊国屋書店 日本ケロッグ(広報・栄養情報作成・お客様対応) 東日本大震災の支援にケロッグを代表して携わる (実際に現場で起きていることを目の当たりにする) 独立しながらもフードバンクで働く 東京大学(農学)2013〜
完全に独立し office 3.11 を設立 (食品ロス削減を目的とした啓発活動、講演、執筆活動)

●えのきの根っこは何に?
・えのき月見ステーキ(塚田農場)
(ホタテの貝柱のような見た目)
・鶏のフンの匂いを抑えるために活用
→ゴミかという判断は消費者が勝手に決めている。

●家庭からの食品ロス 消費期限前のまだ食べられる食品も平気で捨てられている。 ・一世帯に4人家族が一年間に捨てる食べ物:6万円分
日本全国:11.1兆分 (皆お金だと捨てないのに食品に形が変わると捨てる。)
・1 人 1 日食品ロス発生量:約134g=おにぎり1個分 (おにぎり一個あれば何人もの命が助かる可能性がある。)



●世界での食品ロス
・世界の食料廃棄13億トン/年=食料生産量の1/3
・フランス議会で大手スーパーの食品廃棄を禁ずる法案 が可決
(主にフードバンクに寄付、動物の餌に利用される)

●昆虫料理のお話
貧困な人は虫を食べ生きている →無駄をなくせば虫を食べずに生きることが出来る。
アブラゼミはアーモンドチョコレートのような味 実際に食べたがやはり皆抵抗がある (受講している生徒も虫を食べることに抵抗があると回答した)

●日本での食品ロスの量は? 魚の消費量とほぼ同じ量=約 622 万トン
京都では新・京都市ゴミ半減プランを策定 (食品ロスを現在の6.5 万トン→5万トンへ削減することが目標)

●バイオマスの5F

food>fiber>feed>fertilizer>fuel の順で付加価値が高い

・食料として使用できなかったら繊維として使用
(バナナやパイナップルを洋服にする)
・サトウキビやトウモロコシが食品ではなく一気に燃料として使用されてしま っている(価格が高まっている)

●日本の食品ロスのほとんどはどこから?

8割が家庭から出ている
食品ロス621万トン(家庭282万トン・企業339万トン)

・消費者の商品の選び方で企業側の食品ロスを増やしている。
(消費期限の⻑いものから購入するなど)
→結局消費者が原因

●気温の変化を予測で食品ロス削減した食べ物とは?
寄せ豆腐 (冬:焼き豆腐 夏:冷奴 を増やすことで実際にロスが削減) 天候データを精密に予測することで発注数を調整→ロス削減
●規格外のもの
・右図は 100〜200 トン規格外が原因で捨てられるオク ラ →オクラヌードル(フィリピン)にすることで消費期限 が6ヶ月に伸びる

・規格外のものだけを使ったレストランができている

●消費期限・賞味期限

・ペットボトルの表示
賞味期限表示には年月日か年月かがある 年月日:次の日にはゴミになる 最近ではサントリーなど大手飲料企業で年月に移行し始
めている
・カップラーメン、麺類それぞれ賞味期限が伸びてきて いる
・賞味期限がない商品:アイス、ジャム、砂糖、塩、ガム(特保のガムはある) →品質が悪くなりにくいため、水分量が少ないため

・卵の賞味期限
夏:20 日 冬:57 日
私たちの買うものは賞味期限2週間だが実際この日数は 食べることが出来る

●捨てないパン屋
ブーランジェリードリアン ・モンゴル人の留学生に捨てられたパンについて指摘さ れ見直した
・種類○減 ・単価○高 ・リピーター○増 (定期便という形)

アクアベーカリー

・100 円のパン・100 種類 ・1種類の数が少ない(少量多品種)
*デパ地下などのパンの価格は捨てる費用も含まれていることを知るべき

●おからについて おからが人の食用として使われる割合:1% ・ほとんどが肥料や鶏の餌になっている ・栄養価が高いのにも関わらず食用とされない →おからケーキとして販売
(小⻨粉アレルギーの人にも優しい、健康的)



●受講生徒からの質問と井出留美からの回答

Q:何故味が変わらないのに捨てるのか A:缶の凹み、ダンボールが破けている、賞味期限が差し迫っている
Q:日本の食料事情問題について今後どのようにすべきか A:大量生産、大量消費、大量廃棄というサイクルをやめ、適切に作って適切に 消費するべき
Q:一番のやりがい、辛かったこと A:フードバンクのテレビの取材で⻘年海外協力隊時代に出会った女性に再び出 合ったときや社会を変えられたとき、⻘年海外協力隊から日本に帰っていたと き
Q:自身の生活の中での工夫はあるか A:冷蔵庫を満帆にしないこと(土日に買い出しする)
残った野菜をグリーンスムージーに活用
Q:本を何故出したか A:講演は人数が限られているが、本はより多くの人に広められる
Q:5歳の時に何がきっかけで食に興味をもったのか A:母が作ってくれたくず湯
Q:困難はどのように乗り越えたか A:自分よりも辛い方のことを思う
Q:日本人国⺠一人一人の意思を変えるにはどうすれば良いか A:地道な啓発活動を続けること、フランスのように法律化する
Q:日本の根本的な原因は何か A:日本人はゼロリスクを求めすぎている
Q:日本でもフランスのような法案ができないのか A:今実際に動いていて議員さんが法案を作っている
Q:大企業に就職している先生からアドバイスはあるか A:専攻のものだけでなく強みを何個も作る
(何個も持つことでその分だけライバルが減る)