フェイスブックを見れば、与える人か奪う人かわかる

前職の仕事を振り返り、「今ならもう少し上手くやれたかも」と思うことがあります。

会社で一人の広報として、2000年5月から退職するまでの11年間、全社員に配信していた「広報室ニュースレター」。

A4一枚ぐらいに自社情報や競合情報、聴講したセミナーのまとめや書籍の紹介など、さまざまな情報を詰め込んだ内容です。

営業のメンバーには商談前のコネタに、マーケティングのメンバーには商品開発の参考に、総務や経理、工場など、あまり外に出ないメンバーには「外の風」を与えるように、とこころがけていました。

もともとは社員を元気づけたいというのが目的で、11年間に1305号を配信しました。

社員のために、をこころがけていたつもりではありますが、この「1305号」という数字がくせものです。

社会人大学院で学位をとり終えた2006年の翌年、2007年から2009年の3年間ぐらいは、ほぼ毎日、配信していたのです。これが反省点。

いま思えば、みな、うざかったろうなあと(苦笑)

情報配信もいいけれど、それが

 

「自己満足のための情報配信」

 

「自分の実績として数字を達成するために躍起になっていないか」

 

を、冷静に振り返る必要があると感じています。

この「GIVE & TAKE」という書籍は、世界24カ国語に翻訳されたもの。

著者は、世界ナンバーワンのビジネススクール「ペンシルベニア大学ウォートン校」で史上最年少の終身教授になった、という触れ込みが帯に書かれています。

人間の3タイプである

 

ギバー(人に惜しみなく与える人)

テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)

マッチャー(損得のバランスを考える人)

 

のそれぞれの特徴と可能性を、実例を挙げて書いています。

 

中にある、ちょっとドキッとするのが「たいていの人は、フェイスブックのプロフィールを見ただけでテイカーかどうかを見分けることができる」という言葉。

どんなプロフィール写真か、どんな情報か、「友だち」は何人か、など。著者によれば、テイカーを見つけるのにSNSを利用する人も増えているとのこと。

「自己満足のための情報発信なのか?心の底から相手のことを(そして自分のことも)考えているか?」振り返る本です。
IMG_7801

スポンサードリンク



書籍「スーパーマーケットマニア 北欧5カ国編」

昨日ご紹介した、書籍「スーパーマーケットマニア」シリーズ。

北欧5カ国編だけ持っていなかったので、amazonで注文したのが届きました。

IMG_7817

 

なぜこの一冊だけ持っていなかったのかな・・と考え、本の奥付をみると、2011年12月の出版。

この年は東日本大震災が発生し、自分もさんざん迷ったあげく退職して独立した年なので、余裕がなかったのかも。

思えばこの3月11日で、東日本大震災から3年。

ものすごく密度の詰まった3年間だった。

【書籍】スーパーマーケットマニア

森井ユカさんの著書「スーパーマーケットマニア」。

シリーズで出版されており、すべて持っています。

国内のスーパーマーケットを見るのも面白いし、世界各国のスーパーをたずねて、置いてある商品の違いを見るのも楽しいです。

IMG_7800

スーパーマーケットマニア ヨーロッパ編
http://amzn.to/JTpmfh

スーパーマーケットマニア アジア編
http://amzn.to/1af9q0C

スーパーマーケットマニア 北欧五カ国編
http://amzn.to/1iElN8J

スーパーマーケットマニア アメリカ編
http://amzn.to/1af9VrE

書籍「外国人社員の証言 日本の会社 40の弱点」 

書籍「外国人社員の証言 日本の会社40の弱点」

アメリカ、中国、韓国、インド、タイ、インドネシア、オーストラリア、ロシアなど、17カ国の外国人社員から直接聞いた、日本の組織の「??」についてです。

最も印象的だったのは、30代米国人社員の「日本企業に(米国から)電話をすると子どもが電話に出るのはなぜですか?」というコメント。

これは、実は子どもではなく、女性が子どものように高い声を出すことを示唆しています。

働く女性の声は高過ぎる。

私もそう感じます。

あと、群れたがる人が多い。

この本を読むと、各国で当たり前と思われていることが、他国へいくとそうではない事例がたくさんあり、真のグローバルとは何か、ということを考えさせられます。

私もグローバル企業につとめているとき、テレビ番組の企画で自社製品が「ランキング」の最下位だったことを伝えたら、韓国人上司がとても立腹していたことに驚きました。

食品の製造時間が長ければ長いほど、ランキングの下にいくような企画でした。

日本人の目からみれば、「時間をかけて丁寧につくっているのね」という高評価だったのが、韓国人にとっては「一番でないと意味がない」という意識だったようです。

日本系企業でも、これからは外国人社員が増えてくるでしょうから、このような本で、「他国からみた日本」という視点を学ぶのは有意義です。

IMG_7765

http://amzn.to/JZxIkV

「キレイごとぬきの農業論」久松達央氏著、新潮新書

「キレイごとぬきの農業論」久松達央氏著、新潮新書。

1、情報発信は情報収集でもある

本を読むとき、まず最初に読むのは目次。

そのときに目についたのが

「情報発信は情報収集でもある」

という言葉だった。

広報実務16年の経験者として、また「一人広報」を企業とNPOで合わせて12年実践してきた者として、企業広報の担当者の方向けに講演するときに、必ず伝えるのが

「情報は発信するところに集まる」

という言葉。

「情報を集めようとしない」

ということも伝えており、何人かの方からは「目からうろこ」と言われたりもしている。

広報実務に携わる方ではない方から「情報発信は情報収集である」という言葉が出てきているのは嬉しく、やはり実践できる人は自らそのtipsを発見できるのだと感じた。

全体を通して読んでみて、印象に残ったのは次の部分。

2、自分の中での価値は、市場価値とイコールではない

言い得て妙なり。

自分が楽しければいいとか、自己満足の世界で生きている人もいるが、趣味の世界ではそれでよくても、ビジネスの世界では通用しない。

主観だけでなく、客観性・俯瞰性を持つということ。

3、農業界は、マーケットレビューよりピアレビュー社会(仲間内の評価が先行する社会)

これも2と通ずるところがある。

仲間うちで褒め合っても仕方がない。

そしてこれは、企業においても散見される。

自社の製品に思い入れがあり、「消費者は必ずこの良さをわかってくれる」という思い込みがあり、丁寧に説明しなかったり、広告でも自己陶酔の世界に入り込んだりすることがある。

「親バカ」の目線ではなく、「担任教師」の目線を持つことが重要である、という言葉は、以前、雑誌編集長に聞いた言葉で、これも講演のときに広報担当者に伝えている。

すなわち「うちの子がね。うちの子が、うちの子が・・・」(親バカ)ではなく、「この子は、この分野についてはまだ成長途上だけど、こちらについては学年一位を争うくらいのレベルだ」(担任教師)といったように、全体を俯瞰する中で長所と短所を述べることができる、客観視できる姿勢を持つことが重要。

4、カイゼン(改善)のためのカイゼン

日本の製造業が陥りやすい状態。

本に書かれていることとは少しずれるかもしれないが、

品質に100%を求め、これではまだだめ、というように、これでもか、これでもかと改良を重ねている。その隙に、海外の競合メーカーは先手を打って、70%の完成度だったとしても(それが安全上、問題ないレベルであることを前提とし)市場に出してしまう。ビジネスの世界では「先手必勝」の要素もあるので、出しながら改良していかないと、立ち遅れてしまう。

太陽電池などは、かつて日本がトップシェアだったが、どんどん遅れをとってしまった。

また、海外の優れた人材をどんどん獲得していき、国境を越えたチームをつくって勝ちにいくのが海外のやり方。日本はよくも悪くもドメスティック。日本人だけで凝り固まっているふしがある。

5、引っかかりは多いほうがいい

これは本に書かれていることから発展させて、

一人の人材として、付加価値を複数持つこと、専門分野を2つ以上持つことも思い浮かべた。

専門分野を複数持つことにより、人材として、よりニッチに、より希少価値を高めることができる。

以上

また、番外編として、参考文献の幅広さも興味深かった。

女子栄養大学でご一緒している佐藤達夫さんの共著も取り上げられていたし、お会いしたことのある松永和紀さんの著書や、大学時代の指導教授の友人でいらっしゃる、京都大学の伏木先生の著書も。

Twitterでいつも拝見している佐々木俊尚さんの著書も挙げておられるが、従来の、いわゆる「農業書」では決して紹介されなかった分野であろう。

ここに挙げたことだけでなく、著者の格闘も含めてたくさんのことが詰まっているので、おっ、と思った方には手にとって欲しい。

http://amzn.to/15CqfNs