11〜12年ほど前、まだ食品メーカー勤務の頃です。
自社の営業マンを通して、あるスーパーから講演依頼が来ました。
が、、、、
話の進行過程でボツになりました。
「たいした資格も持っていない人だから」というのが営業から聞いた理由でした。
あのときは、ちょうど、ひとつめの社会人大学院の博士後期課程に在籍しているところでした。
確かに、そのスーパーは、著名人の方を講師として大勢呼んでいました。
著名人でもない私では、担当者は良くても、上の幹部の方は物足りなかったのでしょう。
あの「講師お断り」のときから現在までに、400回近くも講演することになろうとは、、、、、
当時の私は思ってもいませんでした。
スーパーの方は、なおさら予想していなかったでしょう。
「キャンセルになった」と言われたときは、もちろん、いい気分ではありませんでした。
でも、確かに自分はまだまだなのだ、と考え、これを機に自分に力をつけていけばいいのだ、と思い直しました。
来月、全国で展開する大手食品スーパーの次世代経営幹部研修で食品ロスの講演をすることになりました。
私の力量ではなく、2006年、まだ会社員の頃から応援してくださっているクロスメディアコミュニケーション(株)代表取締役社長の雨宮和弘さんが推薦して下さったお陰です。
ご自身が登壇する研修の機会に私を引き込んで下さいました。
講演を受けることが決まり、大手食品スーパーの執行役含めた3名との打合せの席で、小売がメーカーに対して課しているペナルティ(補償金)について問いました。
私は会社を退職した2011年以来、この食品業界内の上下関係・・・すなわち、さまざまな競合が存在するメーカーの中から選ぶ立場にある小売が上。選ばれるメーカーが下であるという「ヒエラルキー」と、上位が下位に対して課すルールが生み出す食品ロスについて、マスメディアでたびたび発言してきています。
小売の方にとっては、耳の痛い話には違いありません。
でも、嫌悪感を抱かれたり、感情的に怒りを表出されるどころか、
「(研修)当日は、もっと、ハッキリ言っちゃってください」と言われました。
さらに、初めて会った私に対し、執行役の方が「これ、個人名隠して渡してあげて」と部下の方に依頼し、食品ロスに関する社内資料までいただいてしまいました。
相手の方々が、人間的にできている人だった、ということもあります。
真摯に話すことで、私が話しているのが、相手に対しての不平・不満ではなく、組織や社会をよくするための提言である、ということを、きちんと理解して頂けたからかもしれません。
広報の世界では、自分が属する組織にどっぷり浸かるのはよくない、というのは常識です。
片方の脚は会社(組織)に、もう片方の脚は社会に置いておく。
そうでないと、組織を客観的な目でみることができない。組織が間違った方向に走ったとき、歯止めが利かないからです。
私が打合せをした執行役の方や、今回の研修を企画して下さっている方は、広報ではないけれど、それがしっかりできていた。
自分の組織を過信することなく、信じる力と批評する目の両方を持っていました。
客観的に見ることができていないと、その組織が批判にさらされたとき、感情的にヒステリックになるなどして、冷静に受け止め、相手に返すことができません。
それは、組織だけでなく、個人もそうだと思います。
年齢を重ね、キャリアを積み上げ、それでも、客観的思考ができる人とできない人がいる。
器量のある人とない人がいる。
それを、身にしみて感じました。
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