3.11の食の支援の経験から、熊本地震で必要と思われる食支援情報10か条

【熊本地震で必要と思われる方へシェアお願いいたします】3.11の食の支援の経験から、必要と感じたことを10か条にまとめました。

10 Tips of Support for the Kumamoto Earthquake occurred on the 14th of April

1、行政の方は「平等」を原則に動いていらっしゃると思いますが、避難所の人数と、届いた食べ物の数とが多少ずれていても、食の細い方(子どもや年配の方)へあげる量を少なくするなど、融通をきかせて頂きたいです。3.11のときには、多少ずれていると「平等じゃないから配らない」で放置され、次に来たら食べ物がだめになっていることがありました。

2、現地の方、アレルギーを持っている方に加工食品をあげるときには、特に次の義務表示7品目に注意してあげてください。

卵、小麦、乳・乳製品、落花生、そば、海老、かに

他にもアレルギーがある方は注意してあげて頂ければと思います。以下は、アレルギー任意表示の原材料です。

あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

3、外国籍の方が現地にいらっしゃるかもしれません。日本在住者は大丈夫と思いますが、たまたま熊本を訪れていて被災した方がいたら、現地で外国語できる方、サポートしてあげて頂きたいです。異国で言葉がわからないのはとても不安です。加工食品なども、彼らは表示が読めませんので、教えてあげて頂ければと思います。

4、私の友人も家族ごと避難所に入ったそうです。炊き出しが始まっているとのことでした。炊き出しは、日頃から食べ慣れているもの(おにぎりなど)がお勧めです。

5、サプリメントや栄養補助食品の企業の方へ、常時より非常時には特にサプリメントが役に立ちます。支援食はおにぎりやパンなどの炭水化物に偏りやすいです。そのため、避難して、ある程度の日数が経過すると、ビタミン・ミネラル・食物繊維の不足で、口内炎や皮膚炎などが発症する可能性が高まります。

今後、日数が経過して、もし支援物資としてサプリメントを提供して頂ける機会がありましたら、近隣の工場や支社から支援してあげて欲しいです。その場合、一社ごとに現地に送ると混乱します。今は現地は支援物資を受け入れていませんので、九州農政局に相談して頂けるのがよいのではと思います。

(3.11のときには、農林水産省が、食品企業400社ほどと被災地との仲立ちになり、どこへ何ケース送ればよいのかの司令塔になっていました。もし、他にお勧めの相談窓口を知っている人がいらしたら教えてください)

http://www.maff.go.jp/kyusyu/press/kikaku/160414.html

6、5に同じく、パンやおにぎりなどの炭水化物が続くと、ビタミンB群などの不足により、皮膚炎や口内炎、また食物繊維や水分不足で便秘などが発生します。栄養素が強化された食品を持っている企業の方は、省庁など、関係行政に相談の上、支援してあげてください。

7、今後、必要な時期が来れば、飲料水のペットボトルの支援もあれば助かると思います。(水は重くて配送コストがかかるので、近隣で賄って欲しい。今はまだ送らなくてよい)

8、支援物資を箱詰めして送ろうとしている方へ、現地では、まだ受け入れ体制が整っていないため、まだ送らないでください!とのことです(毎日新聞報道参照)(2016.4.16早朝現在。今後、状況が変わる可能性があります)

今後、現地で必要となり、送る場合は、食料品と他の品物(衣類や衛生用品など)を混ぜて送ると、被災した地域の方が仕分けしなければならず、負担がかかります。食料品なら食品だけで送ってください。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160415-00000135-mai-soci

9、ボランティアへ行こうとしている方へ、8と同様、ボランティアも今は受け入れ体制が無いので、行かないでください、とのことです。食事や寝泊まりする場所など自己管理できない人が押し寄せると、現地が混乱し、かえって迷惑します。(2016.4.16 早朝現在。今後、状況が変わる可能性があります)

10、ネット募金、きのうご紹介した募金がインターネットからできます。Yahoo!は、たまったTポイントやクレジットカードからも手軽に募金できます。きのうは5万人台でしたが、9万人台まできました。

 http://donation.yahoo.co.jp/detail/1630023/

他にも、各NPOが、ネット募金の受付をきのうから始めています。
以上です。

これは2016年4月16日早朝に書いたものです。

被災した地域の状況や必要な物は、今後、どんどん変化していきます。

現地に近いところから発信されている情報を、引き続き、着目していきたいと思います。

(写真は3.11支援のときのもの。当時、ボランティアセンターが設置された石巻専修大学へ、自社製品としてトラックで持っていった支援物資をおろしているところ。震災の翌月です。支援物資の仕分けや詰めるボランティアもやりました)

Kumamoto International Center has opened its facility as an emergency shelter for the earthquake. The service is in Japanese, English and Chinese for now. They are still arranging with Muslim, Bangladesh, Filipino and Korean community leaders. For more information for the shelter and the earthquake, call at 096-359-2121

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支援物資箱詰め_201104

支援物資仕分け201104

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2016年4月14日 平田オリザさん「わかりあえないことから」(東京大学 福武ホール)

平田オリザさんの講演「わかりあえないことから」を聴講しました。

東京大学のEP(エグゼクティブプログラム)の一環です。

基本的には在校生のみの講義ですが、前期は特別に修了生も聴講できる、とのことで、聴講してきました。

平田オリザさんの著書を読み、考え方に共感していました。

  

特に共感するのが、次のくだりです。

『これからの時代に必要なリーダーシップは、弱者のコンテクストを理解する能力だろうと考えている』

もう、高度経済成長時代のリーダーシップとは違う、と。ムダが省かれ、効率だけが要求され、ぐいぐい引っぱる強いだけのリーダーシップでは、「対話」は不要とみなされてしまう。

  

また、次の言葉も、本当にその通りだなと感じます。

『私は、自分が担当する学生たちには、論理的に喋る能力を身につけるよりも、論理的に喋れない立場の人びとの気持ちをくみ取れる人間になってもらいたいと願っている』

  

「下り坂の社会では、逃げ遅れた人はいないか、怪我した人はいないか、と確認するようなリーダーシップも必要である」と。

  

本当の専門家は、専門用語を振りかざし、専門家然と高みに居座る人ではなく、一般のところ(現場)まで降りて来られる人だと考えています。

私にとっての理想は、今の健康診断制度の礎を築き、長野で地域医療と専門医療を両立させた医学博士、故 若月俊一さんです。

現場と専門性、どちらかに偏るのでなく、両立させたところを尊敬しています。

Lecture by Oriza Hirata

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廃棄ロスの多さは食品の価格に転嫁される

3月1日、TBSの「News Bird」に40分間生出演しました。

「食品ロス」のテーマで、キャスターの方と対談しました。

そのとき、6分間のVTRが流れました。

コンビニ関係者という男性が、顔を見せずにインタビューに答えていました。

「コンビニは、捨てる前提で動いている」

おっしゃる通り。

スーパーマーケットに比べて、コンビニエンスストアのほうが、全般的に価格が高めです。

それは、廃棄が多い、というのが一因です。

廃棄物の処理費用は、企業が負担します。

でも、企業が赤字になってまでそれを払うでしょうか。

その費用は、商品の価格に上乗せされているのです。

そのようなことを、2016年1月、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」に出演したときにもお話しました。

そうしたら、同じ内容を代弁してくださっている記事を見つけました。

2016年4月10日付、日経MJの2面に掲載されている「日経MJ ヒット塾」。

法政大学 経営大学院教授の小川孔輔先生が、インストアベーカリーの成功事例として、アクアベーカリーを紹介している記事です。

インストアベーカリーとは、百貨店やスーパーマーケットの中に出店している、いわば「焼きたてパン屋」のこと。

無駄が出やすい事業でもあります。

私も、かつて、百貨店に出店しているベーカリーから相談を受けたことがありました。

百貨店が「閉店まぎわのお客さんも、たくさんの種類のパンを買えるよう、閉店ぎりぎりまでパンを売り残しておくように」「値下げをすると、うち(百貨店)のブランドイメージが落ちるから、値下げしないように」と指示したそうです。

ベーカリーは、その指示にしたがって日々営業しているため、毎晩、大量のパンが売れ残り、廃棄している・・・

どうしたらいいだろう。

フードバンクに寄付をしようか、でも、本部が承諾しないとできない・・・という相談でした。

前述の日経MJの記事で、小川孔輔先生は、

インストアベーカリーのパンの価格帯が高くなる理由として、

 廃棄ロスがたくさん出る分が価格に転嫁されるため

とおっしゃっています。

このことを意識していない消費者の方が多いのでは、と思います。

食品の価格って、原材料と人件費だけではありません。

捨てるための費用も含まれています。

あるパン屋さんは、「われわれは、空気を売ってるようなものだ」とおっしゃっていました。

食品の価格を判断するとき、はたしてこの価格には廃棄処理費用が含まれているか否か、という観点で、改めてみて頂きたいです。

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日清カップラーメンCM中止に思う    「買うことは投票すること」

日清カップラーメンの愛用者の男性が「今回の(中止の)お金、誰が出すんだろう?」って書いているのを目にしました。

広告出稿主か広告代理店かという意味で書いているのかもしれませんが、元をただせば「カップラーメンを買っているあなた」が出しているんですよね。

日清食品さんは、1999年、両足を縛られた豚が連れられるコマーシャルにクレームが来て放映中止にしています。

2010年にはラ王のCM撮影で長野県槍ヶ岳の登山客を阻んだことで放映中止。

2011年には少年に銃を持たせたCMに批判が来て放映中止。

2014年には児童養護施設を舞台にしたテレビドラマへの出稿を中止。

そして2016年も中止。

これらの制作費をもともと誰が出したかといえば、この会社の商品を買っている消費者です。

きのう、ある方に、海外のある国では、買うことが投票とみなされていると伺いました。

昨年、消費者庁の方と食品ロスの講演をしたとき、消費者庁の方が同じことをおっしゃっていました。

なるほどと共感し、3月の参議院議員の方との講演では「買うとは投票することです」「スーパーやコンビニでは、自覚を持ち選んで商品を買ってほしい」と伝えてきました。

たとえ100円レベルで買うことのできる食品であっても、消費者が「この会社を支持する」「この商品を応援する」という気持ちで選んで買って欲しい。そうすれば、廃棄カツのときのような会社や商品は廃れていくはずです。

すでに認知度が充分高い商品にも関わらず、毎年TVCFに巨額の投資をする余裕があるなら、むしろ、食べる人(消費者)の健康を高めることに投資して欲しい、と願います。

(企業のスローガンは「いつだってハングリーに追求していく」だそうです)
https://www.nissin.com/jp/about/nissinfoods/slogan/

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お茶の水女子大学大学院で博士前期・後期課程の院生とポスドクの方へ「キャリア開発特論」(ロールモデル編)

お茶の水女子大学大学院で、博士前期・後期課程の院生とポスドクの方々へ「キャリア開発特論」(ロールモデル編)の講義をします。

オムニバスでトップバッターを務めます。

今年で3回目。

私の役目は

1、日本系企業や外資系企業、国際協力やNPO、起業など、さまざまなステークホルダーで勤めた経験
2、博士号取得者の職業選択の道は研究者と大学教員だけではない
3、挫折や紆余曲折

を伝えることと考えています。特に3番目。

人の真価は、挫折や失敗に出逢ったときに現われる。

実績や上手くいったところだけ切り取って見せるのは心の弱い人のすることだと思う。

挫折や紆余曲折があってもめげずに立ち上がり、少しずつでも歩いている、その姿を次世代に見せるのが役目と考えています。

Give a lecture on my career path at Ochanomizu University

http://dpsc.cf.ocha.ac.jp/DPSC/syllabus/subject/351