会社員のときには聞かれなかったのに、会社を辞めたら聞かれるようになった質問があります。
それは「(人生の)ゴールはなんですか?」です。
なぜ、会社に雇用される「会社員」のときにはそれを聞かれないんだろう。会社員のゴールは「定年」って決まってるから?その会社に雇用されている以上、その会社の「売上」に貢献し続けることが会社員の「使命」だから?
アスリートの上村愛子選手が、引退会見で『メダリストにはなれなかったけど、そこを目指す大切な時間は与えてもらったと思う』と話していました。目指していたゴールには到達できなかったけれど、ゴールに向かうプロセスが充実していたので、ゴール到達以上の価値を与えてもらえた、ということかと思います。
昨日、食の展示会で久しぶりに前職の社員たちに会いました。その直前、初対面の人に、犯罪者に対する職務質問みたいな弾丸攻撃を受け、精神的に疲弊していたので、よけい、懐かしい彼らの顔をみてホッとし、昔のようにおしゃべりして気持ちがほどけました。
と同時に、「売れてるからOK」「売りがよくないからだめ」といった、売上至上主義 ー どうしても、売上の数字だけが目指すゴールになりがちではないか、ということも感じました。
日本系企業、青年海外協力隊、外資系企業、NPO、大学など、短いながらもさまざまなキャリアを積んできて思うのは、自分の成長とともにゴールは変わっていく、ということです。
大学生は、社会に出る前に仕事を選ばなければなりませんが、社会に出て実務に携われば、考え方や価値観に変化が生じ、新たな自分の強みや志向を見出し、仕事に対する考え方も変化していきます。だから、ゴールは変わって当然です。
横浜市長の林文子さんのキャリアの変遷を拝見していると、おそらく彼女は、確固とした「ゴール」を決めているわけではなく、「社会の中で、楽しみながら仕事をし、仕事を通して人の役に立つ」という考え方のもと、求められる場に身を置いていくという、柔軟さと臨機応変さを持った、柳 のような考え方をしているのではないかと感じます。
「ゴールはなんですか?」と訊ねてくる、その人自身にも、人生に対する迷いがあるのかもしれません。