2013年3月11日、東日本大震災から二年。
この日、誕生日を迎えた。
毎月通っている、福島県の方の避難所で、炊き出し。
もう二年も経つのに、避難生活を強いられている方が全国に30万人以上いらっしゃる。
これを解消することこそ、日本の最優先事項の一つではないだろうか。
2013年3月11日、東日本大震災から二年。
この日、誕生日を迎えた。
毎月通っている、福島県の方の避難所で、炊き出し。
もう二年も経つのに、避難生活を強いられている方が全国に30万人以上いらっしゃる。
これを解消することこそ、日本の最優先事項の一つではないだろうか。
1月23日に報道された、福島県双葉町(ふたばまち)町長が2月12日付で辞職するというニュースは、衝撃的でした。
昨年5月から、私が広報をつとめるセカンドハーベスト・ジャパンは、毎月、双葉町の方が避難する全国唯一の避難所へ炊き出しに通っており、双葉町というのはとても近い存在だからです。
その避難所とは、埼玉県加須市(かぞし)にある、旧騎西高等学校です。
震災の後、2011年6月、双葉町の町長さんが、義援金を辞退したことがありました。
双葉町の住民の一人が、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で警視庁に逮捕されたことで、義援金を辞退したのです。
これが住民の同意なしに決められて、いきなり発表されたということで、被災者の方からとまどいの声があがります。
逮捕者ではない普通の町民が義援金を受け取ることができない、ということに対し、「やめることはないと思う」という意見が一週間で全国から300件ぐらい寄せられました。
そして、辞退を表明してから一週間経ち、町長さんが「強い世論に従う」として辞退が撤回されました。ここから、「独断」ということで、批判が始まったようです。
個人的には、震災支援がきっかけで前職の企業を退職したので、不便な生活を強いられている被災者の方に、すこしでもいいから、お役に立てることをしたい、それを続けたい、という思いで、昨年8月大学院受験のため欠席した以外は、毎回、炊き出しに出席してきました。
私が居なかった8月の炊き出しのとき、双葉町の町長さんは、炊き出しをする2HJのところへ挨拶に来てくださったそうです。この日は雨でした。雨にも関わらず、作業を手伝ってくださったとのことで、セカンドハーベスト・ジャパンに対して、御礼のお手紙も頂いています。
ですので、辞職願を出されたという報道には、とても複雑な思いです。
双葉町民の方々の間で軋轢があるという話は、以前から耳にしていました。
福島県の仮設住宅やみなし仮設で暮らす人たちは、光熱費も食費も自費でまかなっている。かたや、避難所(旧騎西高等学校)で暮らす方たちは、災害救助法により、光熱費も食費も国費でまかなわれている。そんなの不公平ではないか、との批判です。
その批判を受け、2012年9月から、避難所の食事は無償から有償へと変わりました。
また、そのような不平不満は、双葉町の中だけで起こっていることではなく、福島県の中で起こっているという話を、福島県南相馬市から避難している方に聞きました。
双葉町や大熊町は、原発のふもとだから、支援が手厚い。でも、これまで原発でさんざん潤ってきたのに、今さら被害者面するな、との批判です。
本当は同じ町や県の仲間なはずなのに、なぜ、こうなってしまうのだろう。そう考えると、やはり原発事故が発生したからでしょう。
避難所に残っている方たちは、その半数以上が高齢者で、中には介護が必要な方もいらっしゃいます。好きで残っているわけではありません。
震災から2年経とうとしています。それでもなお、廃校になった学校の校舎で暮らし、一日三食1100円(朝350円、昼350円、夜400円)の弁当で暮らす人たちがいるのです。
2年も経つのに、なぜいまだこうなのでしょう。
日本は先進国ではないでしょうか。
義援金や復興支援のための資金も潤沢にあったはずではないでしょうか。
セカンドハーベスト・ジャパンは、避難所に支給されるお弁当では食べられない、野菜や果物、お豆腐、うどんやそうめんなどの麺類や、カレーライス、カレーうどんなどの炊き出しを行っており、現在も続けています。
2013年1月の炊き出しの際には、企業の方が3社も来てくださり、鍋焼き風うどんを提供し、楽しく美味しい会になりました。被災者の方々も、とても喜んでくださいました。企業ボランティアの方とおしゃべりを楽しんだ方もいらっしゃいました。
食べ物というのは、単に栄養素をとればいい、というものではありません。美味しい食べ物を食べれば、こころがあたたまり、嬉しくなります。
震災から2年近くも避難を続ける方たちの、すこしでも、こころのなごみや嬉しさに繋がるよう、これからも細々と支援を続けていきたいと考えています。
2013年1月23日付で、双葉町のホームページで発表している町長からのメッセージ「双葉町は永遠に」のURLをご紹介します。
http://www.town.futaba.fukushima.jp/message/20130123.html/
9月12日(水)17:36~54まで、私が広報をつとめるセカンドハーベスト・ジャパンのフードバンク活動を、テレビ朝日「スーパーJチャンネル」で特集して頂きました。
7月から8月にかけて、映画監督の方にも携わって頂いて撮影しました。番組には私自身も登場しました。
セカンドハーベスト・ジャパンは、まだ食べられるのに商品として流通できない食品を食品関連企業や農家の方からお預かりし、福祉施設や生活困窮者に配分する、フードバンク活動を続けています。
日本は、年間2272万トンもの食料を廃棄しています。そのうち、まだ食べられる食品が500~900万トン。これを、食品ロスと呼びます。これは、日本の年間コメ生産量(平成23年現在、839万トン)に相当する量です。食料自給率が低く、高いコストをかけて多くの国から食料を輸入する一方、たくさんの食べ物を日本は捨てています。
2011年にセカンドハーベスト・ジャパンが取り扱った食品ロスは、1689トンにおよびます。これを金額換算すると10.1億円に相当します。この巨額の出費を、フードバンクによって抑えたことになります。食品を提供する企業にとっては、莫大な廃棄コストを削減することができ、食料問題と環境問題に寄与することになります。
セカンドハーベスト・ジャパンが、フードバンク活動と平行して進めているのが、震災支援活動です。2012年11月現在、東京から被災地へのトラック往復回数は170回を超えます。トラックで被災地へ支援物資を運ぶと同時に、全国に散らばる被災者の方へ、食品の詰合せを宅配で送る活動を続けています。2012年7月5日現在、送った食品詰合せは10064箱におよびます。
また、今年に入ってから毎月続けているのが、福島県双葉町の方々が役場ごと避難している、埼玉県加須市(かぞし)にある、廃校になった学校、旧騎西(きゅうきさい)高等学校への炊き出し活動です。
旧騎西高等学校に避難している方々は、約210名で、その半数以上が65歳以上。病弱で介護が必要な方や、高齢者の方が多くいらっしゃいます。
2012年6月22日には、NHKの震災ドキュメント2012「ふるさとは奪われた ~原発事故 双葉町の選択」で、旧騎西高等学校に避難する方の日常生活が特集されました。
これまで災害救助法に基づき、食事と光熱費は国費で賄われてきました。ところが、仮設住宅などで暮らす町民は支給の対象外なので、「不公平だ」という批判を浴び、9月1日から有料化に踏み切りました。朝と昼が350円、夜が400円、全部食べると一人1100円。家族が多い人は、食事だけで月20万円を超えるそうです。2012年8月25日に放映されたNHKニュースで、このことが紹介されました。
ここへ配達されているお弁当には、新鮮な野菜や果物が入っていません。暑い夏には冷たい麺類が食べたくなるものですが、弁当ですから、当然、麺類も出ません。セカンドハーベスト・ジャパンは、これら、弁当では出ないものを補ってあげよう、という趣旨で、今年の5月から、毎月、炊き出しを続けています。毎月、必ず新鮮な野菜と果物をつけています。そのほか、
5月は味噌汁。
6月はミネストローネ(野菜スープ)。
7月はそうめん。
8月は冷やしうどん。
9月は冷やし中華。
といった食事を提供してまいりました。
先日、月一回の炊き出しで、旧騎西高等学校へ行ってきました。皆さんが暮らしているお部屋(学校の教室)は、震災直後のままのようです。床に毛布や青いマットがひかれていました。プライバシーもない状況。調理室は校舎の中にありますが、4階です。足腰の悪い高齢者の方が、エレベーターのない校舎の階段で、4階までを上り下りするのは困難です。
旧騎西高等学校に暮らしている方も、仮設住宅に暮らしている方も、また、福島県の中でも、双葉町以外の方も、どなたも、それぞれの立場で違うご苦労があるはずです。ただ、同じ福島県の中で、このような軋轢が起きてしまうのは、やはり、地震と津波だけではなく、原発の問題があったからではないでしょうか。
来る12月11日で、東日本大震災発生から1年9ヶ月が経ちます。いまだ、全国のあちこちで避難生活を送る方がたくさんいらっしゃいます。「仮設住宅」は、あくまで仮の住宅のはずなのに、いまだに仮設住宅で暮らしている方が大勢いらっしゃいます。
震災支援のボランティアをきっかけに勤務先の企業を辞めた私ですが、震災から一年半経って、いまだ避難を続ける方が大勢いらっしゃる現実に、むなしくなります。被災していない私に、被災した方の本当の苦労や悲しさがわかるわけがありません。どういう支援が一番いいのか。おそらく、何が正しいかという正解は、ないのでしょう。
それでも、震災から1年9ヶ月が経ち、震災を忘れかけている多くの方に、この現実を知って頂き、考えていただきたいと思います。
そして、ささやかでも、何かの行動に一歩、踏み出して頂きたいと、心から願っています。
8月24日付東京新聞 双葉町 旧騎西高の食事有料化 避難者「一方的」と憤り
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20120824/CK2012082402000141.html
9月2日付東京新聞 双葉町民避難の旧騎西高 弁当有料化始まる
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012090202000091.html
Togetter(トゥギャッター)2012年6月22日NHK震災ドキュメント2012「ふるさとは奪われた~原発事故 双葉町の選択」
http://togetter.com/li/325392
農林水産省 フードバンク
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/foodbank/index.html
セカンドハーベスト・ジャパン
http://www.2hj.org/index.php/jpn_home
まだ食べられる食品を年間コメ生産量と同じ量捨てている日本
ーフードバンク活動と震災支援活動を継続するセカンドハーベスト・ジャパンが10月9日シンポジウム開催ー
http://www.value-press.com/pressrelease/100987