1月23日に報道された、福島県双葉町(ふたばまち)町長が2月12日付で辞職するというニュースは、衝撃的でした。
昨年5月から、私が広報をつとめるセカンドハーベスト・ジャパンは、毎月、双葉町の方が避難する全国唯一の避難所へ炊き出しに通っており、双葉町というのはとても近い存在だからです。
その避難所とは、埼玉県加須市(かぞし)にある、旧騎西高等学校です。
震災の後、2011年6月、双葉町の町長さんが、義援金を辞退したことがありました。
双葉町の住民の一人が、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で警視庁に逮捕されたことで、義援金を辞退したのです。
これが住民の同意なしに決められて、いきなり発表されたということで、被災者の方からとまどいの声があがります。
逮捕者ではない普通の町民が義援金を受け取ることができない、ということに対し、「やめることはないと思う」という意見が一週間で全国から300件ぐらい寄せられました。
そして、辞退を表明してから一週間経ち、町長さんが「強い世論に従う」として辞退が撤回されました。ここから、「独断」ということで、批判が始まったようです。
個人的には、震災支援がきっかけで前職の企業を退職したので、不便な生活を強いられている被災者の方に、すこしでもいいから、お役に立てることをしたい、それを続けたい、という思いで、昨年8月大学院受験のため欠席した以外は、毎回、炊き出しに出席してきました。
私が居なかった8月の炊き出しのとき、双葉町の町長さんは、炊き出しをする2HJのところへ挨拶に来てくださったそうです。この日は雨でした。雨にも関わらず、作業を手伝ってくださったとのことで、セカンドハーベスト・ジャパンに対して、御礼のお手紙も頂いています。
ですので、辞職願を出されたという報道には、とても複雑な思いです。
双葉町民の方々の間で軋轢があるという話は、以前から耳にしていました。
福島県の仮設住宅やみなし仮設で暮らす人たちは、光熱費も食費も自費でまかなっている。かたや、避難所(旧騎西高等学校)で暮らす方たちは、災害救助法により、光熱費も食費も国費でまかなわれている。そんなの不公平ではないか、との批判です。
その批判を受け、2012年9月から、避難所の食事は無償から有償へと変わりました。
また、そのような不平不満は、双葉町の中だけで起こっていることではなく、福島県の中で起こっているという話を、福島県南相馬市から避難している方に聞きました。
双葉町や大熊町は、原発のふもとだから、支援が手厚い。でも、これまで原発でさんざん潤ってきたのに、今さら被害者面するな、との批判です。
本当は同じ町や県の仲間なはずなのに、なぜ、こうなってしまうのだろう。そう考えると、やはり原発事故が発生したからでしょう。
避難所に残っている方たちは、その半数以上が高齢者で、中には介護が必要な方もいらっしゃいます。好きで残っているわけではありません。
震災から2年経とうとしています。それでもなお、廃校になった学校の校舎で暮らし、一日三食1100円(朝350円、昼350円、夜400円)の弁当で暮らす人たちがいるのです。
2年も経つのに、なぜいまだこうなのでしょう。
日本は先進国ではないでしょうか。
義援金や復興支援のための資金も潤沢にあったはずではないでしょうか。
セカンドハーベスト・ジャパンは、避難所に支給されるお弁当では食べられない、野菜や果物、お豆腐、うどんやそうめんなどの麺類や、カレーライス、カレーうどんなどの炊き出しを行っており、現在も続けています。
2013年1月の炊き出しの際には、企業の方が3社も来てくださり、鍋焼き風うどんを提供し、楽しく美味しい会になりました。被災者の方々も、とても喜んでくださいました。企業ボランティアの方とおしゃべりを楽しんだ方もいらっしゃいました。
食べ物というのは、単に栄養素をとればいい、というものではありません。美味しい食べ物を食べれば、こころがあたたまり、嬉しくなります。
震災から2年近くも避難を続ける方たちの、すこしでも、こころのなごみや嬉しさに繋がるよう、これからも細々と支援を続けていきたいと考えています。
2013年1月23日付で、双葉町のホームページで発表している町長からのメッセージ「双葉町は永遠に」のURLをご紹介します。
http://www.town.futaba.fukushima.jp/message/20130123.html/