ちょうど一年前の7月12日。
新聞の朝刊を開いた私は目を見張った。
そこにはでっかいスイカを抱え、大口開いて高笑いする女がいた。
私じゃないか。
身に覚えはあった。
前の日、広報を務めていたフードバンク宛に食品ロスの取材があった。
翌日には記事にしたいと言う。
広報10年以上もやっていれば、
メディアの習性はなんとなくわかってくる。
「今日の夕方、流したいんです」
「お忙しいところ、ほんとすいません」
(すまないなんてちょっとしか思ってないだろ)
と心の中で悪態をつく。
そうは言いながら、できるだけ応えてあげたい。
広報として、せっかくのメディア露出のチャンスも掴み取りたい。
この日も、フードバンクに届いている食品を「何か見せてください」と、駆けつけたカメラマンに言われた。
倉庫、冷蔵庫、一通り説明した。
冷蔵庫にスイカがあった。
これを出して、両手で抱えて見せた。
これが過ちだった。
まさかあんなふうに載るなんて。
人生の汚点だ。
電話とメールでやりとりした記者の方に御礼のメールを出した。
返信には、取材に協力した御礼とともに
「すいかをお持ちの写真、社内で激賞でした」
とあった。
うそやろ。
「大変なお仕事を笑顔でこなされている井出さんに、あらためて敬意を表します」
世の中って、面白い。
「バッチリ決まってるだろ」と自画自賛した写真が、人から見たら、鼻持ちならないものだったりする。
逆に「こんなん、一生の恥やわ」と思った写真が、まわりの人に親しみをもたらしたりする。
昨晩、ある方が主催して下さった7人の会に参加した。
一番乗りして、次に来た方と名刺交換した。
あっ!
すぐに思い出した。
あの記事を取材してくださった方だ。
たくさんの取材を受けてきて、印象に残る記者の方がいる。
そんなお一人だった。
取材は電話とメールだったので、まさに初対面。
「あ、すいかの方ですね」
「すいかの人」って初めて言われた。
「○○の人」と評されるとき、それが集約されればされるほど、エッジが立っているのだろう。
でも、「○○」がバラエティに富んでいるのも、また、いい人生なのかもしれない。
(新聞は東京新聞 2014年7月12日付 27面、担当してくださった記者は
篠ケ瀬 祐司さんです。ご快諾をいただいて、新聞の名前と記者のお名前を公開させていただきます。篠ケ瀬さん、ありがとうございました!)
I appeared on Tokyo Newspaper issued on July 12th, 2014 – as a PR person of a food bank in Tokyo
Last night attended a drinking party and met a journalist who was in charge of this issue – “Food Loss in JAPAN – 5 to 8 million tons per year ”
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