グローバル企業勤務時代、
欧米などの「本社」と各国の「支社」との関係について
感じたことがありました。
効率よく経営するとなると、
世界すべてをひっくるめてまとめて
一律に管理するのが最もラクな方法です。
ただ、たとえ隣の国といっても、
国民の嗜好や職員の考え方は
まったく異なります。
ヨーロッパに本社がある企業が
世界各国を本社のやり方で
トップダウンで一律管理しようとしたところ
失敗し、売上が落ちた・・・
という話も聞きました。
営利企業であれば、
特に大規模な営利企業であれば、
効率良い経営を目指すのは重要です。
ただ、これがNPOとなると
話は別だと考えます。
そもそもNPOとは、
社会に存在する課題を解決するために立ち上がった組織です。
営利組織からは見過ごされてしまいがちな、
社会的に弱い立場の人を支援することが
活動の目的に含まれています。
そういった人を、
家族構成や弱い立場に陥った背景、
食生活、生活習慣、心理状態、
収入、住環境など
細かく丁寧に観て
その人に寄り添えば寄り添うほど、
「効率だけを追求する経営」など
どだい無理なことがわかります。
先月から今月にかけて
沖縄、富山、静岡、名古屋と
いろんなフードバンクを訪問させて頂きました。
(フードバンク=まだ食べられる食べ物を、廃棄される前に企業や個人から預かり、困窮者や福祉施設に届ける活動もしくはその活動主体)
震災後から3年間関わってきた東京のフードバンクの広報のときにも
北海道から沖縄まで、
全国のさまざまなフードバンクを訪問しました。
訪問した団体、お会いした方、今はもう運営をやめた方まで含めると
30団体以上になります。
その経験をふまえて感じたのは
「それぞれの地域の良さを活かした活動であってほしい」
ということです。
それは、
北海道から九州まで
転勤族の子どもとして様々な地方で暮らして育ってきた
私の思いでもあります。
フードバンクは
食べ物ありきの活動です。
その地域によって
集まってくる食べ物が違います。
人によって
求める食べ物も異なります。
一人ひとりを見るのか。
それとも、
全部ひとまとめにひっくるめて見るのか。
管理する側の立場だけ考えれば
後者がラク。
でもサービスを受ける側の立場に立てば、
前者がいいのは当然です。
誰だって自尊心を持っています。
自分を見てほしい。
自分を理解してほしい。
哀しみや苦しみに寄り添って欲しい。
どんな仕事であっても
お客さまをどう見るのか
どう対応するのかは
大きな課題だと思います。
コメントを投稿するにはログインしてください。