日本では、3R政策といって、Reduce(廃棄物の発生抑制) Reuse(再使用) Recycle(再資源化)の順番に対策に取組む考え方がある。農林水産省は食品産業に対し、発生抑制の目標数値を設定し、2012年4月に試行、2014年4月からは本格始動している。また農林水産省は、2013年下旬より、NO-FOODLOSS プロジェクトと名付けた食品ロス削減国民運動を展開し始めており、「ろすのん」
というキャラクターを活用した取り組みが少しずつ増えてきている。
2005年7月15日に施行された食育基本法の第一章第三条では、食に関する感謝の念と理解を醸成することが目標に掲げられている。
2012年7月に、食品ロス削減を目標として農林水産省・消費者庁・環境省・内閣府(食育担当)の4省庁が連携した。2013年2月にはここに文部科学省が加わり、8月には経済産業省が加わって6省庁連携となった。また食品業界では、農林水産省の補助事業として、食品ロス削減のための商習慣検討ワーキングチームが2012年10月3日に発足し、2013年度、2014年度と3年連続で会合を開催し、具体的な食品ロス削減対策に挑戦している。これまでのワーキングチームによる動きとして、次のようなものが挙げられる。
1、菓子・飲料パイロットプロジェクト 特にロスの出やすい飲料と菓子に関し、納入期限を3分の1から2分の1に延長する、という実験を、希望する35企業が2013年8月から2014年2月までおこなった。その結果、飲料・菓子全体で納入期限を延ばしたとすると、およそ4万トンが削減できるという試算になり、金額換算でおよそ87億円が削減できる計算になった。
2、賞味期限の見直し 日清食品と明星食品が、2014年4月1日よりカップ麺の賞味期限を1ヶ月延ばし「6ヶ月」へ、袋麺については2ヶ月長い「8ヶ月」へと変更した。これは、約60社加盟している日本即席食品工業会が1年かけて包装技術の進歩を検証し、賞味期限1−2ヶ月延長できる、と結論づけたことを受けての動きである。食品ロス削減とともに防災備蓄食としての役割が高まることが期待されている。
3、年月日表示を年月表示へ 現在、法律上では、賞味期限が3ヶ月以上ある食品に関しては、賞味期限の日付まで表示する必要は無い、とされている。だが実際、日付まで表示しているケースが多い。これは食品メーカーにとってはリスク管理とトレーサビリティのためでもある。ただ、日付管理は関係者だけがわかればよく、数字である必要はないともいえる。2013年5月製造分から、ミネラルウォーター(2リットルサイズ)は、大手5社が年月表示に切り替えた。また2014年6月製造分から、清涼飲料水のうち、賞味期限1年以上ある食品に関しては、年月表示に切り替えている。これにより、1日単位の厳格な保管や補充、移送などを中止し、運送作業を減らすことによりCO2の削減にも繋がる可能性がある。大手飲料企業団体「サステナビリティプロジェクト委員会」によれば、運送費削減により、業界全体では年間2000から3000トンのCO2削減になるという。
4、消費期限と賞味期限の違いを理解する ドイツでも同じ問題が起こっていたが、日持ちのしない惣菜や弁当などに表示される「消費期限」と、比較的品質が劣化しにくい食品に表示される「賞味期限」を混同している場合が多い。賞味期限は、きちんと保管されておれば、1日や2日過ぎても品質が劣化していない場合が多い。ドイツでは、このことを生活者に浸透させるため、「捨てるには良過ぎる」という国ぐるみのキャンペーンを2012年に実施している。日本では消費者庁が先頭に立って、この啓発活動を進めている。