書籍『フードバンクという挑戦 貧困と飽食のあいだで』(大原悦子著・岩波現代文庫)

大原悦子さんの著書『フードバンクという挑戦 貧困と飽食のあいだで』(岩波書店)が、2016年3月16日、岩波現代文庫として出版されました。

単行本は、韓国語に翻訳されて、韓国でも出版されています。

ここで、大原悦子さんのプロフィールをご紹介します(書籍『フードバンクという挑戦 貧困と飽食のあいだで』の奥付より引用)

ジャーナリスト。
1958年東京生まれ、津田塾大学国際関係学科卒業。
1982年、朝日新聞社に入社。
東京本社学芸部記者として文化面などを担当。
在職中にハーバード大学ケネディ行政大学院修士課程修了。
1999年、フリーに。
著書に『ローマの平日 イタリアの休日』(コモンズ)
訳書に『ソウル・トゥ・ソウル』(朝日新聞社)

現在は、津田塾大学ライティングセンター特任教授として、「書く」ということを母校の学生さんに指導していらっしゃいます。

単行本が発行されたのは2008年の夏。まだ、フードバンクが日本各地に少しずつ誕生しはじめた時期です。

あれから8年。

2011年には東日本大震災も発生し、フードバンクを取り巻く状況が大きく変わりました。

今回、発行された文庫本では、p189〜212まで、「フードバンク その後、そしてこれから」と題し、大原悦子さんの直近の取材による最新情報と大原さんの思いが書かれています。

単行本と文庫本が発行される間に、私の立場も変わりました。

2008年には食品メーカー、日本ケロッグの広報室長でした。

2011年9月には、日本初のフードバンク、セカンドハーベスト・ジャパンの広報室長になりました。

今は(株)office 3.11の代表として、全国で「食品ロス」に関する講演や啓発活動に取り組んでいます。

私は、3Rの原則をもとに、まずは「Reduce(廃棄物の発生抑制)」の活動を第一に優先して取り組みたいと考えています。

これから先の8年で、日本は、どう変わっていくのでしょうか。

今回出版された文庫本で印象的だったのは、大原さんが、各フードバンクや行政をあらためて取材されていたことです。

ジャーナリストでいらっしゃるから当然といえば当然なのですが、中でも、群馬県太田市を取材されていたことに驚きました。

私も、いつか取材したい、と思っていたところだからです。

大原さんに先を越されました(笑)

群馬県太田市は、全国でも珍しく、行政(市)が主導してフードバンクを立ち上げています。

私がそのニュースを知ったのは、昨年9月ごろだったでしょうか。

全国紙の報道を通してのことでした。

昨年秋からの講演では、パワーポイントに「最新の(フードバンクの)動き」として、必ず冒頭で群馬県太田市の取組を紹介してきました。

私の講演を聴いてくださった方が、「太田市って、先進的な市らしいよ。」「フードバンクだけじゃなくて、いろんなことを、積極的に取り組んでいるんだって」と話してくださいました。

確か、昨年の11月か12月でした。

地方の新聞社の方が教えてくださったと記憶しています。

そんなこともあり、群馬県太田市には注目していたのでした。

それより先に、先月、京都市には取材に行っておりました。

こちらも「全国初」で、食品ロス削減の数値目標を決め、平成12年に10万トン近くあった食品ロスを、現在、6.7万トンまで削減をはたした、ということで、注目していた行政だったのです。

京都市は、環境問題に意識が高いと同時に、観光都市でもありますので、ハラル(イスラム教徒の決まり)についても進んでいます。

先月2月、食品ロスと同時に、ハラルについても京都市を取材したところでした。

率先して、現場に足を運ぶこと。

この重要性は、3.11の東日本大震災でも実感しました。

現場に足を運んだ者にしかわからないことがあります。

マスメディアの報道には、必ず、報じた者(あるいは組織)のフィルターがかかっています。

やはり、自分で足を運んで確かめること。

自分の五感を駆使して感じ、それを、自分の言葉で感じること。

大原さんのご著書を読んで、そんなことを感じました。

来月、大原さんにお会いできることを楽しみにしています。

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