子どもの夏休み・・・ふだん学校給食しか食べていない子どもたちは今

「子どもの夏休み」と聞けば明るい印象を受ける人がほとんどでしょう。私もそうでした。ただ、子どもの貧困の現状を目の当たりにする経験後は、ため息をつきたくなります。

食品企業勤務時代、小学生100名を対象に、食事調査をおこないました。その結果、一日のうちでどの食事から最もエネルギーを摂取しているのは「学校給食」で35%でした。これは、経済的に恵まれている家庭の子ども100名を対象にしています。親が子どもに朝食も夕食もつくらない家庭では、学校給食が一日一度の唯一の食事である子どももいます。その子たちのエネルギー源は、学校給食が100% 。夏休みに入り、学校給食がなくなった今、その子たちはどうしているのでしょう。

昨日7月28日、平成27年度 埼玉県学校給食研究会栄養職員対象講演会で「食品ロスの現状と食品ロスを減らすためにできること」について、埼玉県内の校長先生や副校長先生、栄養職員の方々に講演してまいりました。

昨日の対象者の先生方は、定時制の高校で授業や学校給食に携わっている方々でした。学校給食を申し込んでおきながら食べに来ない子どももいらっしゃると伺いました。福島県伊達市で福島産の食品が食べられなくなった時期に、福島県伊達市の学校給食センターに、米国から支援物資として提供された、米国産の桃缶7,000缶を提供し、子どもたちにフルーツ杏仁豆腐を食べてもらったこともお話しました。福島といえば桃が名産です。なぜ福島の子どもたちがアメリカ産の桃を食べなければいけないのか。でも学校給食の予算は1人250円。遠隔地から食料を運べば運ぶほどコストがかさむため、東日本大震災後は、地産地消がかなわず、かといって遠くから食料を運ぶことも難しく、大変な状況でした。

東京都足立区では、学校給食の残渣を減らすため、「日本一美味しい学校給食」を目指し、今では残渣が以前よりも減少しています。今月3日、東京都足立区立第四中学校へ講演にいったときも、中学一年生200名の生徒さんたちは口々に「給食、美味しい〜!」と叫んでいました。校長先生から見せていただいた学校給食のメニューも、黒色(海草・きのこ類)や緑色(緑黄色野菜・淡色野菜)が盛り込まれ、栄養バランスも担保した良いメニューでした。

成長期に栄養素を摂らなければ、後からでは手遅れです。人生で最も成長ホルモンが分泌されるのは小学校高学年から中学校にかけてです。すべての子どもたちが美味しい学校給食やおうちごはんを食べ、心身が成長できるだけの満足感と充足を得てほしいと願っています。




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