久松達央さんの講義「小さくて強い農業の生き残り」について、法政大学大学院の小川孔輔先生が感想を書いておられます。
http://www.kosuke-ogawa.com/?eid=3448#sequel
その中に、「アンスケーリング(組織を大きくしないことのメリット)」という言葉がありました。
日本系企業や外資系企業を辞めて独立し、ここ最近思うことがあります。
日本の企業のうち、大多数は中小企業。
とはいえ、職員の拠点が複数にまたがり、互いの目が届かないで仕事するような環境は、すでに「大きな組織」と言えると感じます。
振り返ってみて、大組織にいるときはこんなことを忘れていたなあということがあります。
1、感謝
感謝の気持ちは持ってはいたのですが、特に目立たない部門、たとえば総務や経理など、いわゆる「アドミ(Administration)」と呼ばれる部門に対する感謝が薄かったような気がします。
大組織にいれば、その部署に頼めばなんでもやってくれます。
「名刺一箱お願い」と言えば、総務部門が作っておいてくれます。
「パソコンの調子おかしい」と言えば、IT部門が。
経理は財務部門がやってくれます。
独立すれば、それらを一人で、もしくは少人数でやらざるを得ません。
2、会計・税の知識
恥ずかしながら、給与と事業所得の違いについても知りませんでした。
確定申告する立場になり、今回、ようやく学んだ次第です。
他にも知らなかったことが多々・・・
「会社員」や、大学、行政などに雇用される立場のままだったら、絶対知らないで済んでいたなあ、、と。
3、リスクテイク
グローバル企業に勤めた経験をふまえると、日本は特にその傾向が強いと感じます。
食の世界ではあり得ない「ゼロリスク」を求められます。
リスクを取りたくない人が多い。
「会社を転職する」ことは考えても、「会社を辞めて独立する」ことは、なかなか考えないですよね。
なぜなら、それはリスクだから。
4、バランス感覚と俯瞰力
一つの組織の見方に凝り固まり、俯瞰して見るということが薄いように感じます。
また、一つの組織で朝から夜中まで働くのも、短期間ならいいですが、何年もその状況を続けるというのでは視野も狭くなるでしょう。
5、相手の時間 = コスト という認識
雇用されている立場の方は、この感覚が麻痺しているのではないかと感じることがありました。
雇用されてさえおれば、極端な話、何をしていようが、自動的に給与は振り込まれます。
商談して、時間を何時間も費やして、たとえ決まらなかったとしても、給与はもらえます。
でも独立している人が、時間を10時間20時間使って仕事にならなければ、報酬はゼロ円です。
いわゆるサラリーマンだと、自分が何をしていてもお金がもらえる立場なので、相手もそうだと誤解?勘違い?しているように感じます。
以上
ほかにもあるかもしれませんが、5点にまとめてみました。
下記の記事には「常に厳しい道を選べ。失敗しても何かを学ぶはず」という言葉があります。
Yahoo・CEOマリッサ・メイヤー氏「常に厳しい道を選べ。失敗しても何かを学ぶはず」 とある女性起業家を支え続けたアドバイスhttp://logmi.jp/63159
米国ではフリーランスが主流、たいして日本は大組織に属するケースが主流。
大きな組織に属していることで、目立たないセクションへの感謝を忘れてしまったり、全体を俯瞰する力や、相手(特に弱者)に対する気配りを忘れたり、といったことが増えると、個々の細胞が腐食し、個人のみならず、組織全体、ひいては日本全体に元気がなくなるように思います。
大きな組織にしか、いた事がないので、気をつけます。
佐々木さん、ありがとうございます。
中には「自分の任期だけ、穏便に済ませればいい」と考えている人もいらっしゃいますよね。
大きな組織にいても、起業家精神や自律の意識を持って自己研鑽なさっている方も多くいらっしゃいます。