歩いてすぐの近所に焼きたてパン屋がありました。
オープンしたてのときから通い、10回、20回、30回・・・
1年経っても2年経っても、お店の人は目も合わせてくれません。
3年通っても4年通っても5年通っても、
「いつもありがとう」と言ってもらえません。
そうこうするうちに、お店はつぶれてしまいました。
お店の人は「職人」だったのだと思います。
レジを募集しても人が来ず、
一人でパンを焼きながらレジの対応もしなければならないのは
本当に大変だったことでしょう。
でも、お店の売上は、
来てくださる一人のお客様から成り立つもので、
「ありがたい」と思えば
いくら内向的でも、
いくら人と接するのが苦手でも、
そういう気持ちがあらわれたのではないかと思います。
せっかく美味しいパンなのに、もったいない。
大きな組織で「職人」と「接客」が分業化できればいいけど
働く人が限られる職場では
一人がマルチタスクを担わざるを得ないのではないでしょうか。
同じことを
最初の職場の研究所で行った
外の学会会場でも感じました。
せっかく多くの人に伝える場なのに
聴衆に背中を向けてスクリーンに向かって話したり
原稿丸読みだったり・・・・
せっかくの業績なのに、もったいない。
研究者だから研究だけしていればいいかというと、そうではなくて、
自分のデータや研究成果を「伝える」努力
相手に「伝わる」ための工夫が必要なのではないか
そう思いました。
どんな仕事も「商売」だと思うと
専門性を磨くと同時に
伝えることの大切さを感じます。
でも伝える根本は
how toではなく
相手に対するサービス精神や慮る気持ちであり、
それがあれば、
伝える技術の拙さをいくぶん補えるのでは・・とも思います。
気持ちが土台であって、
技術や○○論、how toは
後からくるものではないのかな。
(写真は私の焼いたパンデサールです。フィリピンの素朴な塩パン。I baked Pan De Sal ! )
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