まだ食べられるにも関わらず捨ててしまう食べ物が500〜800万トンあることはわかった。では、食べ物に困っている生活困窮者は、日本にどれくらい存在するのだろう。厚生労働省が発表した「2013年 国民生活基礎調査の概要」の相対的貧困率16.1%を基に、日本の総人口に乗じて換算すると、貧困線以下で暮らす人は単純計算でおよそ2000万人いることになる。貧困瀬とは、簡単に言えば、日本人の平均年収の半分のところを指す。金額で言うとおよそ年収122万円。1ヶ月あたりに換算すると、10万円になる。たとえば首都圏で、家賃を払い、光熱費や食費、衣類、日用品などを払っていくとなると、厳しい金額である。しかし、それ以下で暮らす人が2000万人、単純計算の割合にして日本人のおよそ6人に1人となる。かなり多い割合ではないだろうか。NHKで食品ロス問題を特集して頂いたとき、視聴者からの意見(Twitter)で「日本は先進国だから、食べ物に困っている人などいるわけがない」という趣旨のものがあった。貧困というのは、必ずしも目に見えるところだけにあるものではない。社会学的にはhidden populationと呼ばれるように、見えない人口がある。ホームレスの場合、最近増えてきている若年層のホームレスは、路上ではなく、ネットカフェや友人宅などに潜んでいると、ホームレス支援の方に聞いた。そこに入ってしまえば、一般の人の目に触れることはなくなる。厚生労働省のホームレス調査では、全国で4桁(9,500人強)のホームレスがいる、ということになっている。ほかにもひとり親世帯、高齢者、在日外国人など、ホームレス以外にも食べ物に困窮している層が存在する。