第68回 日本栄養・食糧学会 大会での発表

第68回 日本栄養・食糧学会 大会での発表が無事終了しました。
下記にまとめました。

座長:山田和彦先生(女子栄養大学)
   清水俊雄先生(名古屋文理大学)

演者:塩澤信良先生(消費者庁)
   清水俊雄先生(名古屋文理大学)
   石見佳子先生(国立健康栄養研究所)
パネリスト:井出留美
   梅垣敬三先生(国立健康栄養研究所)

座長より、自身の体験から表示に対する考え方を述べよということで、下記5つのポイントについてお話しました。

1、一般の方にわかりやすい表示を。
 消費期限と賞味期限が混同されている。ドイツの消費者も、賞味期限を消費期限と誤解し、すぐに棄ててしまっているので、ドイツでは、消費者・保護省の大臣が2011年に記者会見を開き、「棄てるには良過ぎる」キャンペーンを開催した。

ほかにも消費者は、ナトリウムを食塩量と誤解したり、糖質を砂糖だと思ったり、「乳化剤」を乳製品だと勘違いしたり、など、表示のリテラシーが低い場合も多くみられる。はたしてこの現実を踏まえた表示案になっているのか。

2、表示の波及効果(Pros/Cons)を考慮する

たとえば製造年月日表示は、平成7年から、世界統一にするという意味で賞味期限表示になった。そのことにより、数字で判断し、五感を使わずに食品の品質を判断する消費者も増えている。消費者庁で2013年10月から3回にわたって開催された意見交換会では、「賞味期限」という表示の名称を変更することなどが提案されている。

3、数字や表現が妥当であること

強調表示の一つである「たっぷり表示」の基準は適切か。たとえば食物繊維は100g中、6gで「たっぷり」と謳えるが、少なくはないか。

また、原産地表示について、輸入したものを日本で何かちょっと加工すれば(たとえばシロップをかけるなど)「国産」となってしまうが、はたして妥当な表示なのか。

4、表示にメリハリをつける

アレルゲンについては生命に関わるので優先順位は高く、一括表示の中でも目立たせるべき。だが、左右(左がごちゃごちゃ書かれているもの)(右がシンプルなもの)と比べてみると、やはり重要なところを強調させたほうが見やすいと思う。

5、食品事業者、中でも表示作成に携わる食品製造業の意見を取り入れて案を作成する

一元化検討会のメンバーをみると、確かに食品事業者は含まれているが、製造業者は入っていない。企業外の人は「食品事業者」と一括してみなしてしまうが、実は食品業界の中にはヒエラルキーが存在しており、表示に関しても流通(小売)の意図が優先される場合も多い。

確かに健康増進法・JAS法・食品衛生法が一元化されれば、シンプルになる部分もあるが、それ以外にも食品メーカーは、下記のようなさまざまな法律を考慮して表示をつくらなければならない。そのような背景も考慮して欲しい。

公正取引委員会 景品表示法
計量法
容器包装リサイクル法
薬事法




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