16歳の男の子に教えてもらったこと

16歳の男の子が49歳の男性に教えていた。
しかも私の専門分野で。

2014年1月16日。
「捨てられる食べ物を見直そう」と題し、朝日新聞の投書欄に、49歳の男性会社員からの投稿があった。
お正月、妻と買い物に行き、割引シールが貼られた山積みの食品を前に、
「この商品はどうなるだろうな」と言った、という。
妻は一言

「捨てるにきまっとるやん」。
投稿者は言う。
「昔の人は、茶わんに米粒が一粒残っていても、もったいないと言った、これが本来の日本人の魂だと思う。」
投稿を切り取っておいた。

一週間後。

北海道に住む16歳の男子高校生が、この投稿者に対して投書していた。
彼は、小学校時代、食べ物が食べられない国の子どものことを知った。
それ以来、学校給食を残さない、自分なりの努力をしてきた、という。
高校に入学し、英語の教科書で「フードバンク」を知った。
まだ食べられるのに捨てられる運命にある食べ物を、困っている人に届ける活動だ。
この考えに感銘し、すぐ、東京のフードバンク団体にボランティア登録した。

衝撃を受けた。
小学校のときから食べ物を残さない取り組みを実践している。
高校の教科書でフードバンクを知り、すぐにボランティア登録という行動を起こしている。
49歳の大人が知らないことを、こういう仕組みがあります、と教えてあげている。
全国紙の紙面上で。

行動力。
実践力。
発言力。
どれをとっても16歳のときの自分にかなわない。
16歳の自分どころか、今の自分にもかなわない。

フードバンクの広報をやっていながら、最初の投書に対し、何も行動しなかった。
ただ新聞を切り抜いただけ。

彼は、行動を起こした。
大人に対し、自分の知っていることを教えてあげた。

自分よりずっと年下の彼から学んだ。
年上だから優れているとは限らない。
年下の彼から、行動力と発信力を学んだ。
まだ、彼にはおよんでいない。

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