『あん』の著者、ドリアン助川さんの著書「夕焼けポスト 心がラクになるたったひとつの方法」に、いい話が書いてありました。手の形がみんなと違う形をしている女の子、はるかちゃんに対するお手紙です。私がここ数週間、考えていたことに重なる内容です。

以下
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はるかちゃん、お手紙ありがとう。
手がみんなと違うという悩み。
はるかちゃんにとってはとても気になることだと思います。
みんなと違う形をしていれば、ついついそれを言ってしまう人もいるでしょうし。

でも、大人になるにつれて、そういうことを言う人は少なくなると思いますよ。

それは、大人が、相手を傷つけることを言ってはいけないというエチケットを知っているからではありません。
気にならなくなるのです。

大人とは、人を見た目だけではなく、内側の、心のあり方も含めて評価できる人のことを言います。
大人になればなるほど、どんな心を持ち、どんな温かさを持っているかということが大事になってくるのです。
だから、はるかちゃんがみんなを温めるような人になれば、手のことなんか、だれも気にしません。

ただ、残念なことに、みんながみんな大人になれるわけではありませんから、外見は大人でも、人のいやがることを平気で言ったり、いつまでも見た目にとらわれるような人はいます。それは大人になれなかった人なのです。

手のことで何かを言われたら、「こいつ、ずっと子供なんだな」と思えばいいだけです。大人なのに子供の人は相手にしなくていいです。はるかちゃんは、普通の人よりも早く大人になってしまっていいと思います。

大人にはもうひとつの特徴があり、それはいろいろな角度でものが見られるということです。たとえば手の使い方。人の手は、今こうして返事を書いているように、ペンを握ることができます。おはしも使えます。リコーダーの穴を押さえたり、ピアノを弾いたり、楽器も演奏できます。なんでもつかめます。げんこをにぎれば人をなぐることもできます。こんなに器用な手を持っているのは、あらゆる生き物の中で人間だけです。

では、人として、一番とうとい手の使い方はどんなものでしょう。
それはおそらく・・・・手を差しのべるということです。困っている人や、転んでしまった人や、うずくまっている人がいたら、両手を差し出すということです。その手を握って挙げるということです。

少し形の変わった手でも、差し出すことはできます。一生をかければ、たくさんの命を温めてあげることができます。そしてその手は、本当は心の中にあるのですよ。形なんて関係ないのです。伝えたいことはそれだけです。
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以上

ドリアン助川さんがトークショー&サイン会されたのと同じ会場(啓林堂書店奈良店)で、今夏、同様にさせて頂いたのがささやかな誇りです。
啓林堂書店奈良店の西田大栄さん、あのときは、奈良まで呼んでいただいてありがとうございました。

Man giving bread to a small child. Charity concept.

Man giving bread to a small child. Charity concept.

(画像はi-stockにて購入)

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