「伝える」という言葉はよく使うけど、相手にきちんと「伝わる」ことのほうが難しい。たとえば「プレスリリースを配信する」というのは広報の基本業務ですが、「リリース送っておきました」は、一方的にただ伝えただけ。送った先では即ゴミ箱行きというパターンも多い。広く浅く撒くプレスリリースは「伝わる」という点において限界がある。記者の方に記事を書いて頂きやすいfeature story(1つのテーマについて2−3のネタを集めたもの)の方が、この人。と思った人にきちんと「伝わり」記事にして頂ける確率が高まると考えるようになりました。
「伝わる」において重要だと最近考えるようになったのは、情報発信の頻度です。特に仕事で使うメールの情報発信。その頻度があまりに過剰だと「伝わる」力を損ねる場合もあります。以前、食品企業の広報として「広報室ニュースレター」という社内広報のようなものを考案し、通算1305号、社内に配信していました。当初は「自社のメディア情報を配信し、社員が元気になる」ことが目的だったけど、そのうち、自分の記録を作ることが目的に入り込んでいたように感じます。退職した今、様々なメールを毎日のように頻繁に受け取るようになり、情報発信する側が、情報発信の頻度を調整してあげることも相手(情報の受け手)に対する気遣いの一つであると考えるようになりました。
私の知人の大学生が「伝える」より「伝わる」ことのほうが大事という投稿をしておられ、すごいなあと思いました。私が大学時代に気づかなかったことを、彼女は大学在学中に気づくことができている。私が気づいたのは就職してからです。最初の会社(ライオン株式会社)の研究所時代、仙台で開催された学会発表で、原稿丸読みの人、聴衆に背中を向けて原稿読んでいる人を見て「せっかく優秀な研究者なのに、もったいないなあ」と思ったのが「伝わる」重要性を意識した最初でした。それ以来、「伝える(伝わる)力を持つ研究者(専門家)」を目指すようになりました。
食品企業の広報として配信していた「広報室ニュースレター」では、末尾に「つづける・つなげる・つたわる」というキャッチコピーを書いていました。「伝える」→「伝わる」のさらに先に、理解や共感、意識改革や行動変容が生まれると、なおよいのだと思います。
It is important to be understood
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