農場段階ではじかれたものは、日本の「食品ロス」の数字には含まれていません(農林水産省 食料産業局)。したがって、日本で「食品ロス削減」と言うとき、個々の農家さんは入ってこないと考えています。ヒヤリングや講演では「規格」と「需給調整」の話をしています。農林水産省の方に確認したところ、野菜の需給調整で潰すものについてはそれを「ロス」と呼ぶのかどうか定義も定まっていないとのことです。となると、下記「SEND」の農産物関連記事のタイトルを「ロス」 解決策になるか としているのは違和感があります。
http://thebridge.jp/2015/08/send
世界全体を見ると、川上(農林水産業)でロスの多く発生する途上国と、川下(流通以降消費者段階まで)でロスが多く発生する我々のような先進国があります(参照:FAOレポート)。よって、日本での対策は川下に集中し、農場野菜は対象となりません(ただし小売で販売する野菜や、マス対象に配送する製造業からの野菜は含む)。
私は食品メーカー出身なので、加工食品に関与する流通業界の「3分の1ルール」の是正に対して提言してきました。3年間フードバンクで個人および製配販からの余剰食品を見てきた結果、加工食品の「賞味期限接近」によるロスが最も多く、半数以上を占めました(ただしこれは東京に限定した話。全国の地方は多様で異なる)。
消費者は「もったいないよねー」と口で言ってるだけでなく、もうすこし冷静に客観的に考えて日々の行動をしていきたい。
「加工食品の廃棄コストも普段の買い物で(無自覚に)払わされている」こと
「期間限定や数量限定は販売戦略の一環(安売りや催事に踊らされない)」こと
「賞味期限は”期限”と名はついてはいるが、美味しさの目安に過ぎない」こと
など自覚する必要があると考えます。
自分もふくめてね。
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