東芝の件。
Heads roll at Toshiba as scandal claims top brass
http://bit.ly/1gN30wq
今回の件が明るみに出たのは内部からの通達だと言う。
「過大な目標数値」と「逆らえない企業風土」。
おそらく、日本社会の中では氷山の一角だと思う。
私が外資系企業で過ごした14年半は、概ね居心地のいいものだった。
2つのトクホ(特定保健用食品)の申請や認可に関わることができた(写真:オールブラン・ブランフレークでトクホを取得し、営業会議で発表した)。
実践的な英語を学ぶ機会を与えてもらった。
お客様対応を5年間兼務し、全国の5歳から80代までの幅広い人の生の声を聴く機会を得ることができた。
仕事をしながら大学と大学院に6年間も通い、栄養学を学ぶ機会を与えてもらった。
臨床試験で自社製品を使い、腸内環境と皮膚に与える影響を論文にした。
それをプレスリリースで発表し、メディアの露出を獲得し、売上に繋げた。
海外でのグローバルな会議に何度も出させてもらった。
会社で一名の広報と栄養の担当として活動することができた。
「広報室ニュースレター」を11年間配信することができた(合計1305号)。
営業部や工場など、現場で格闘する社員たちと過ごすのは心地よかった。
転校生として育ってきた私は、そもそも同じ場所に10年居たことがなかった。
「そんなに動くって、お父さんサーカス?」と聞かれたこともあった。
自分は根っからの風来坊で、同じ場所に居られない人間なのではと危惧した。
勤続10年を迎えたとき、「自分も10年ひとつ所に居られる体だったんだ」と安堵した。
でも、会社にいて疑問に思うことはあった。
KPI(Key Performance Index)として
「対前年比」で今年度の業績を評価することである。
多くの企業で「対前年比」を使っていると思う。
それが適切な場合もあるし、傾向を示すマーカーにはなる。
だが、自分の(自社の)努力でどうにもならないこともある。
社会の時流にのって今年爆発的に売れれば、翌年は厳しくなる。
競合会社の調子がよく、その恩恵を受けることもある。
天候が悪く、予想を下回ることもある。
個人に向けての言葉で、よく「変えられないことを悩むな、(自分に)変えられることに取り組め」というのがある。
天候も経済状況も、自社の努力だけではどうにもならない。
なのに、なぜそれらに左右される「対前年比」を事業の指標として使うのだろう。
なぜ「たまたま」の数字に、我々が右往左往しなければならないのだろう。
もう一つ
広報の成果を示す「広告換算」。
「もし広告でこれを出したらいくらかかる」を算出するものである。
あれも一つの参考にはなるが、
マーカーの一つに過ぎない。
メディア露出だけは多いが、自社の真の目標に繋がらないケースもある。
数字はグローバルで通用するので便利である。
だが数字の奴隷になるのは危険である。
数字だけで表わせないものもある。
優秀な経営者は、数字を見るのはもちろん、数字で見えない部分も観ていると感じる。
厚生労働省が発表しているホームレス調査。
年々減って、現在、全国で7,000数名という。
本当にこれだけだろうか。
調査する人たちの就業時間中の日中、生活困窮者の人たちはネットカフェや知人宅など人目のつかないところに潜んでいるから算出できないだけではないのか。
確かに、減っている側面もある。だが
見えない貧困を反映している数字だろうか。
国民健康・栄養調査。
ビタミンB群やCの摂取量は、調理による損失を考慮していない。そこまでの算出は難しい。だから、あくまで見かけ上の数字として使うしかない。
数字は便利。
数字はエビデンスとなる。
だが、人間が数字の奴隷になるのはおかしい。
「チャレンジ」は、必ず達成できるものではないから「チャレンジ」と言う。
英語の”Challenge”は、「挑戦」という意味とともに、「決闘」「抗議」「異議申し立て」などの意味を持つ。
必ず勝つとは限らない。
「必ず(100%)達成せよ」と部下に対してプレッシャーをかけるのは、「チャレンジ」という言葉の真の意味を理解していないと思う。
最近、非公開のイベントへ、一人ずつ声をかける経験をした。
気持ちよかった。
Facebookでは「イベント」のお知らせを大量にいただく。
有難いことだが、大量過ぎて、すべてを読むことができにくい。
4〜5年間ほとんど交流がない方からの招待や、とても行くことができづらい設定(場所や日時)だと、「たぶん、これは本気で心の底から自分に来て欲しいと思っているわけではないのかな」と感じてしまう。
「イベント、何百人参加!」というのは、結果を数字で表わすのにはいいかもしれないが、ひとり一人の顔を丁寧に見るのが難しい面もあると思う。
数字は大事。
だが、数字では見えないところも大事。
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