又吉直樹さんの新著『夜を乗り越える』
又吉さんとは、おととし(2014年)のNHK「オイコノミア」でご一緒させていただきました。
内省的な方だな、というのが第一印象でした。
私も内にこもるほうなので、共通する部分を感じました。
私は現在の又吉さんしか存じ上げませんが、この『夜を乗り越える』を読んで、なぜ彼が本を好きになったのか、どういう生き方をなさってきたのかを知ることができました。
印象に残っているのは『売れていないということ、そしてかつて売れなかった時間を持っていたことは、僕は重要だと思っています』と書いていらっしゃることです。
又吉さんにもそういう時期があったと思う。そして、それは、いまの彼を創るのに重要だったのではないか、と感じます。
もうひとつ、『共感できなかった、という言葉で切り捨ててしまうのは怖い』というニュアンスのことも書いておられました。
自分が共感できるものしか許さないという姿勢に対する疑問です。
確かに、そういう空気が社会にあるのを感じます。
ブログやFacebookなどのソーシャルメディアでも、自分の仲間うちで評価し、賞賛しあっているような感じ。
山田ズーニーさんの著書『伝わる!揺さぶる!文章を書く』の後半部分に書いてあることと共通しています。
彼女も、『常に読み手にとって心地よいことを書いていけば相手に嫌われないが、それでは書く意味を見失い、読む側の興味も失せてしまう』と書いていました。
書き手にとっても読み手にとっても、違和感を感じるものを一概に切り捨ててしまわない姿勢が大切なのだと感じます。
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