辻中俊樹さん・櫻井光行さんの共著「マーケティングの嘘 団塊シニアと子育てママの真実」(新潮新書)。
今回の大阪講演の会場に来る新幹線の中で読みました。
食品業界、特に大手企業で、マーケティングの定量調査を外部機関などの機関に委託して行なっている会社にお勧めします。
共感するのは、定量調査の限界について書かれた箇所です。
「あなたは朝食を食べましたか?」という質問があったとして、その「朝食」の定義が、そもそも人(回答者)によって異なるので、概念が異なることを聞いて回答を集計しても、それは不正確な結果にしかならない。
アンケートで、購買理由を問われ、選択肢の中からいずれかを選択する・・というパターンは多いが、「なんとなく」買ったのかもしれない。「なんとなく」などという選択肢はないから、必然的に、存在する選択肢の中から選ばざるを得ない・・・真実を答えられない。
書籍の最後に書かれている、「n=1の視点が大事」という意見に対し、「一名の調査では信じられない」という意見が出てくることについて、私の意見は
「数は大事。でも数だけでは測れないものもあるよね」
ということ。
これは、組織の経営者にも言えると思う。
組織経営において、組織に関わる数字(データ)を見ない、などということはあり得ない。
数字は大事。
でも、優れた経営者は、数字では見えないもの、あらわせないものまで観ている。
そう思うのです。